経済

ECONOMY

公開：2024-09-16

VisaとKOTRAが世界初のカード決済プラットフォームGTPPを発表、中小企業の国際取引を支援

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• VisaとKOTRAが貿易決済プラットフォームGTPPを導入
• 日本など5カ国で10月末から提供開始予定
• 中小企業の輸出代金回収の課題に対応

VisaとKOTRAによる世界初のカード決済プラットフォームGTPP

Visaは2024年9月11日、韓国貿易投資振興公社（KOTRA）と提携し、カードによる貿易決済の世界初のプラットフォーム「Global Trade Payment Platform（GTPP）」を発表した。このプラットフォームは10月末から日本、台湾、シンガポール、米国、メキシコの5カ国で提供が開始される予定だ。GTPPは今後3年間でKOTRA加盟企業の輸出量上位20カ国まで拡大する計画となっている。^[1]

GTPPは韓国の中小企業や海外の購入企業が会員として登録し、支払いの授受ができるデジタル基盤として機能する。このプラットフォームにより、海外の購買企業はカード番号を入力するだけで貿易決済を簡単かつ便利に行うことが可能になる。また、モバイル対応により利便性がさらに向上し、韓国の中小企業が直面する輸出品の代金回収における決済上の課題に対応することが期待されている。

GTPPの導入により、支払い回収までの時間短縮や韓国の輸出業者のキャッシュフロー改善が見込まれている。また、決済コストは標準的なカード決済手数料より低く設定され、韓国の輸出業者と国外の輸入業者の間で負担するよう設計されているため、双方の経済的負担が軽減される。さらに、カード発行プロセスに様々な検証段階が組み込まれており、従来の手法と比較してより高度な詐欺防止対策が実現されている。

GTPPの主な特徴まとめ

貿易決済について

貿易決済とは、国際取引における代金の支払いと商品の受け渡しを円滑に行うための仕組みのことを指している。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• 異なる通貨間での取引を可能にする
• 信用状（L/C）などの決済手段を使用
• 為替リスクや非支払いリスクの管理が重要

韓国貿易保険公社（K-SURE）の2023年の報告書によると、韓国内の中小企業の輸出品の代金回収期間は平均で68日で、遅延率は30.2%に達している。GTPPの導入は、このような長期の回収期間や高い遅延率といった課題に対応し、中小企業の国際取引を支援する重要な役割を果たすことが期待されている。

GTPPに関する考察

GTPPの導入は、中小企業の国際取引における決済プロセスを大幅に簡素化し、効率化する可能性を秘めている。特に従来の複雑な銀行間取引や信用状の発行などのプロセスを省略できる点は、中小企業にとって大きなメリットとなるだろう。また、カード決済の即時性を活かしたキャッシュフローの改善は、中小企業の資金繰りを安定させる効果が期待できる。

一方で、新たな決済システムの導入に伴うセキュリティリスクや、国際的な規制への対応など、克服すべき課題も存在する。特に、クロスボーダー取引に関わる各国の法規制や税制の違いを踏まえた運用が求められるだろう。また、既存の銀行システムとの連携や、大企業を含めた幅広い企業層への普及も、GTPPの成功に向けた重要な課題となる。

今後、GTPPの機能拡張として、AIを活用した信用リスク評価や、ブロックチェーン技術による取引の透明性向上などが期待される。さらに、他の決済プラットフォームとの相互運用性の確保や、多通貨対応の拡大など、より包括的な貿易エコシステムの構築に向けた取り組みが求められるだろう。GTPPの成功は、国際貿易のデジタル化を加速させ、グローバル経済の新たな成長エンジンとなる可能性を秘めている。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「VisaとKOTRA、世界初となるカードによる貿易決済のプラットフォームを韓国で導入 | ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000283.000006846.html, (参照 24-09-16).

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