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FP法とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


FP法とは

FP法はソフトウェア開発プロジェクトの規模や工数を見積もるための手法の一つです。FP法ではソフトウェアの機能を定量的に評価し、プロジェクトの規模を算出します。

FP法の特徴はソフトウェアの機能を「機能点数」という尺度で表現することです。機能点数はソフトウェアの複雑さや規模を表す指標となります。

FP法の利点はプロジェクトの早期段階から規模や工数を見積もることができる点です。要件定義や設計の段階で機能点数を算出することで、プロジェクトの全体像を把握できます。

FP法の適用範囲は業務システムやWebアプリケーションなど、様々なソフトウェア開発プロジェクトに及びます。ただし、リアルタイムシステムや組込みシステムなどには適していない場合があります。

FP法を活用するには機能点数の算出方法や計測のルールを理解する必要があります。また、プロジェクトの特性に応じて、FP法の適用方法を検討することが重要です。

FP法における機能点数の算出方法

FP法における機能点数の算出方法に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • FP法における機能点数の構成要素
  • FP法における機能点数の計測手順
  • FP法における機能点数の調整係数

FP法における機能点数の構成要素

FP法ではソフトウェアの機能を「データ機能」と「トランザクション機能」に分類します。データ機能はソフトウェアが管理するデータの複雑さを表します。

一方、トランザクション機能はソフトウェアが提供する処理の複雑さを表します。これらの機能点数を合計することで、ソフトウェア全体の機能点数が算出されます。

データ機能には「内部論理ファイル」と「外部インターフェースファイル」があります。トランザクション機能には「外部入力」「外部出力」「外部照会」の3種類があります。

FP法における機能点数の計測手順

FP法では機能点数の計測手順が定められています。まず、ソフトウェアの機能を抽出し、データ機能とトランザクション機能に分類します。

次に、各機能の複雑さを評価し、機能点数を算出します。複雑さの評価には「低」「中」「高」の3段階が用いられます。

最後に、算出された機能点数に調整係数を乗じて、最終的な機能点数を求めます。調整係数はソフトウェアの技術的な特性や環境を考慮するために用いられます。

FP法における機能点数の調整係数

FP法では算出された機能点数に調整係数を乗じることで、最終的な機能点数を求めます。調整係数はソフトウェアの技術的な特性や環境を考慮するために用いられます。

調整係数は14個の一般システム特性を評価することで決定されます。一般システム特性には「データ通信」「分散処理」「性能」などが含まれます。

各特性の影響度を0から5までの6段階で評価し、合計値を求めます。この合計値を用いて、調整係数を算出します。調整係数は0.65から1.35の範囲で決定されます。

FP法の利点と課題

FP法の利点と課題に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • FP法の主な利点
  • FP法の課題と注意点
  • FP法の適用事例と効果

FP法の主な利点

FP法の主な利点はプロジェクトの早期段階から規模や工数を見積もることができる点です。要件定義や設計の段階で機能点数を算出することで、プロジェクトの全体像を把握できます。

また、FP法はソフトウェアの機能を定量的に評価するため、見積もりの客観性や再現性が高いという特徴があります。これにより、プロジェクトの進捗管理や品質管理に活用することができます。

さらに、FP法はプログラミング言語や開発環境に依存しないため、異なるプロジェクト間での比較や評価が可能となります。このことは組織におけるソフトウェア開発の標準化や生産性の向上に役立ちます。

FP法の課題と注意点

FP法の課題は機能点数の算出に専門的な知識や経験が必要な点です。FP法の計測ルールは複雑であり、適切に適用するには一定の学習が必要となります。

また、FP法はソフトウェアの機能を定量的に評価するため、非機能要件や品質要件を考慮しにくいという課題があります。これらの要件は機能点数には直接反映されません。

FP法を適用する際はプロジェクトの特性に応じて、計測ルールの解釈や適用方法を検討する必要があります。画一的な適用ではかえって見積もりの精度が低下する恐れがあります。

FP法の適用事例と効果

FP法は様々な業界や組織で適用されており、プロジェクト管理の改善に効果を上げています。例えば、金融機関におけるシステム開発ではFP法を用いることで、見積もりの精度が向上し、リスク管理が強化されたという事例があります。

また、公共機関におけるシステム調達ではFP法を用いることで、調達コストの削減や品質の確保に役立てられています。FP法による見積もりを根拠とすることで、適正な価格での調達が可能になります。

FP法の適用には一定の学習と経験が必要ですが、適切に活用することで、プロジェクト管理の質の向上や生産性の改善が期待できます。組織における継続的な取り組みが重要となります。

FP法の適用手順とツール

FP法の適用手順とツールに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • FP法の一般的な適用手順
  • FP法の適用を支援するツール
  • FP法の適用における留意点

FP法の一般的な適用手順

FP法の一般的な適用手順は以下のようになります。まず、ソフトウェアの機能を抽出し、データ機能とトランザクション機能に分類します。次に、各機能の複雑さを評価し、機能点数を算出します。

その後、算出された機能点数に調整係数を乗じて、最終的な機能点数を求めます。最後に、機能点数から、プロジェクトの規模や工数を見積もります。この手順を繰り返し適用することで、プロジェクトの進捗に応じて見積もりを精緻化していきます。

FP法の適用には要件定義書や設計書などの文書が必要となります。これらの文書から、ソフトウェアの機能を抽出し、評価していきます。文書化された情報が不足している場合は関係者へのヒアリングなどを通じて情報を収集します。

FP法の適用を支援するツール

FP法の適用を支援するツールとして、「Function Point Workbench」や「FP Outline」などのソフトウェアがあります。これらのツールは機能点数の計測や調整係数の算出を自動化することで、作業の効率化を図ります。

また、「IFPUG CPM」や「NESMA FPA」などの団体が提供する計測マニュアルやガイドラインも、FP法の適用を支援するツールの一つといえます。これらのマニュアルやガイドラインに沿って計測を行うことで、標準的な方法で機能点数を算出できます。

ツールを活用する際はツールの特性や制約を理解し、適切に運用することが重要です。ツールに頼りすぎず、人間の判断や経験を活かすことが、FP法の適用では求められます。

FP法の適用における留意点

FP法の適用における留意点は機能点数の算出に必要な情報を適切に収集することです。要件定義書や設計書などの文書が不足している場合は関係者へのヒアリングを行うなど、情報収集に努める必要があります。

また、FP法の計測ルールを形式的に適用するのではなく、プロジェクトの特性に応じて柔軟に解釈することも重要です。画一的な適用ではかえって見積もりの精度が低下する恐れがあります。

FP法の適用は担当者の知識や経験に依存する部分が大きいため、教育や訓練を通じて、担当者のスキル向上を図ることが望まれます。さらに、組織内で FP法の適用事例を共有し、ノウハウを蓄積していくことも重要な取り組みといえます。

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