キリンHDが高効率PET分解酵素を開発、混紡繊維のPET分解率が世界最高値の90%を達成

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

キリンHDがPET分解酵素の高効率化に成功
混紡繊維中のPET分解率が世界最高値の90%を達成
ペットボトルのPET分解量が改変前と比べ28倍に向上

キリンHDが開発した高効率PET分解酵素による資源循環の実現へ

キリンホールディングス株式会社は静岡大学、自然科学研究機構分子科学研究所、大阪大学と共同で、PET分解酵素の改変に成功し、2024年11月25日に発表した。新たに開発された酵素は、一般的に資源循環が困難とされている混紡繊維中のPETの分解が可能で、PETとコットンの混紡繊維におけるPET分解率が90%と世界最高値を達成している。^[1]

改変された酵素「PET2-14M-Hotlike」は、PETとポリウレタン、PETとコットンの2種類の混紡繊維中のPETを選択的に分解できることが確認されており、使用した酵素量と分解までの時間から世界最高の分解効率を実現することに成功した。また、この酵素をさらに改良した「PET2-21M」では、ペットボトルのPET分解量が改変前と比較して28倍に向上している。

キリンホールディングス株式会社は今回開発したPET分解酵素の社会実装を目指して新たなパートナーの探索を進めており、環境に配慮したプラスチック資源の循環型社会の実現に向けた取り組みを推進している。同社は2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量の50%をリサイクル樹脂にすることを目標として掲げている。

PET分解酵素の性能比較まとめ

	PET2-14M-Hotlike	PET2-21M
混紡繊維での性能	PET分解率90%を達成	熱安定性が向上
対応素材	PET/ポリウレタン、PET/コットン	ペットボトル
主な特徴	世界最高の分解効率	PET分解量が28倍に向上

ケミカルリサイクルについて

ケミカルリサイクルとは、廃プラスチック製品を化学的に分解して再利用する技術のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

化学分解によって原料レベルまで分解が可能
異物や汚れを除去して高品質な再生材料を生成
従来手法と比べて環境負荷が低い処理が可能

酵素分解法は、従来のケミカルリサイクル技術と比較して低温でPETを分解できるため、環境負荷を大幅に低減することが可能である。キリンホールディングス株式会社が開発したPET分解酵素は、この酵素分解法の実用化に向けた重要な技術進展となっている。

PET分解酵素の技術革新に関する考察

キリンホールディングス株式会社が開発した新しいPET分解酵素は、混紡繊維中のPET分解という従来の技術では困難だった課題を解決する画期的な進展となっている。特に世界最高値となる90%のPET分解率の達成は、資源循環型社会の実現に向けた大きな一歩となり得るだろう。

今後の課題として、酵素分解法の大規模な実用化に向けたコスト効率の向上や処理能力の拡大が挙げられる。これらの課題に対しては、新たなパートナー企業との協力による技術開発の加速や、生産プロセスの最適化による効率化が求められるだろう。

PET分解酵素の技術は、従来の化学的リサイクル手法と比較して環境負荷が低いという大きな利点を持っている。今後は処理対象となる素材の拡大や、さらなる分解効率の向上を目指した研究開発の進展に期待が高まっている。

参考サイト

^ PR TIMES. 「PETを高効率で分解するケミカルリサイクル技術を開発、廃繊維中のPETも循環可能に | キリンホールディングス株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001102.000073077.html, (参照 24-11-26).

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