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東京理科大学が色素増感太陽電池ベース光電子シナプス素子を開発、低消費電力でエッジAIデバイスの実現へ前進

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

東京理科大学が色素増感太陽電池ベース光電子シナプス素子を開発、低消費電力でエッジAIデバイスの実現へ前進

PR TIMES より


記事の要約

  • 東京理科大学が色素増感太陽電池ベースの光電子シナプス素子を開発
  • 人の動作を90%以上の精度で判別可能な低消費電力デバイス
  • 多様な時間スケールに対応したエッジAIセンサの実現に期待

色素増感太陽電池ベース光電子シナプス素子の研究成果

東京理科大学の研究グループは、光強度を変化させることで時定数を制御できる色素増感太陽電池ベースの光電子シナプス素子を2024年10月28日に発表した。この開発により、消費電力を抑えつつ人の動作を90%以上の精度で判別できることが実証され、エッジAIデバイスの実現に向けて大きな一歩を踏み出している。[1]

開発されたデバイスは光強度に応じてペアパルス促進やペアパルス抑制といったシナプス可塑性の特性を示すことが確認されており、入力パルス幅が変化しても光強度を調整することで高い計算性能を発揮することが明らかになった。この技術革新により、色素増感太陽電池を用いた自己給電型光電子シナプス素子の物理リザバコンピューティングへの応用可能性が初めて実証された。

研究グループは光の吸収波長が550から700ナノメートルのスクアリリウム誘導体色素を用いたDSCを作製し、658ナノメートルのレーザーを照射して光強度に対する過渡応答を調査した。光強度を0.1ミリワットから10ミリワットに増加させると平均立ち上がり時間が0.75秒から8.9ミリ秒へと急激に減少することが判明し、光強度による応答時間の制御が可能となった。

色素増感太陽電池ベース光電子シナプス素子の特徴まとめ

項目 詳細
光吸収波長 550〜700 nm
レーザー波長 658 nm
光強度範囲 0.1 mW〜10 mW
応答時間変化 0.75秒→8.9ミリ秒
動作認識精度 92%
主な特徴 自己給電型、低消費電力

物理リザバコンピューティングについて

物理リザバコンピューティングとは、時系列データを低消費電力かつ高速リアルタイムで処理できる計算手法のことである。以下のような特徴を持っている。

  • リザバ層に物理システムを採用し効率的な処理を実現
  • 時系列データを低消費電力で高速処理
  • エッジAIデバイスへの応用が期待される

従来の光電子シナプス素子を用いた物理リザバコンピューティングは、光電流に基づいて動作するためバイアス電圧の適用が必要であり、高い消費電力が課題となっていた。新たに開発された色素増感太陽電池ベースの光電子シナプス素子は、入射光によって駆動できる自己駆動型の光電デバイスとして機能することが可能になっている。

色素増感太陽電池ベース光電子シナプス素子に関する考察

色素増感太陽電池ベースの光電子シナプス素子の開発は、エッジAIデバイスの実現に向けて画期的な成果となっている。特に自己給電型であることと高い認識精度を両立させた点は、IoTセンサやウェアラブルデバイスへの応用可能性を大きく広げる要素となるだろう。

ただし実用化に向けては、光強度の制御精度や環境光の影響、長期安定性などの課題も考えられる。これらの課題に対しては、より高性能な色素材料の開発や光学系の最適化、耐久性の向上などが解決策として挙げられるだろう。

今後は監視カメラやヘルスモニタリングなど、さまざまな分野での実装が期待される。特に医療機器やウェアラブルデバイスへの応用では、低消費電力で高精度な生体信号処理が可能となり、新たなヘルスケアソリューションの創出につながる可能性を秘めている。

参考サイト

  1. ^ PR TIMES. 「低消費電力の色素増感太陽電池ベース光電子シナプス素子を開発 ~エッジAIデバイスの実現に向けて、新たな可能性を開拓~ | 学校法人東京理科大学のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000127.000102047.html, (参照 24-11-26).

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