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公開：2025-03-14

IBMと東京大学が量子コンピューティングエコシステムを強化、日本企業の技術力が量子技術の発展を加速

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• IBMと東京大学が量子コンピューティングの協力関係を強化
• 日本企業が量子ハードウェアサプライチェーンの発展に貢献
• TDKやアルバックなどが重要コンポーネントを開発

IBMと東京大学による量子コンピューティング分野での協力体制の構築

IBMと東京大学は2019年にJapan-IBM Quantum Partnershipを締結し、日本初のIBM Quantum System Oneを導入することで量子コンピューティングの発展を推進してきた。JSRやトヨタ自動車、三菱ケミカル、ソフトバンク、ソニーなどの大手企業がIBM Quantum System Oneを活用し、量子コンピューティング技術の実用化に向けた取り組みを加速している。^[1]

東京大学とIBMは2021年に世界初の量子ハードウェアテストセンターを設立し、日本の量子ハードウェアサプライチェーンの発展を支援している。TDK、フジクラ、キーコム、I-PEXなどの企業がコンポーネントの開発に取り組み、専用インフラストラクチャーを活用した性能評価を実施することで、量子コンピューティング技術の進展に大きく貢献している。

アルバックは2025年後半にIBMの量子データセンターでULVACクライオスタットの試験を予定しており、量子コンピューターの重要なインフラストラクチャーの構築を進めている。京セラも大規模半導体パッケージの技術を活かし、量子コンピューティング分野への参入を果たすことで、日本の量子エコシステムの更なる発展が期待されている。

量子コンピューティング関連企業のまとめ

希釈冷凍機について

希釈冷凍機とは、超伝導量子ビットを動作させるために必要な極低温環境を実現する装置のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• ヘリウム同位体を混合チャンバー内で循環させる冷却システム
• ミリケルビンという極低温領域まで冷却が可能
• 超伝導量子ビットの動作に不可欠な温度環境を提供

超伝導量子ビット技術において希釈冷凍機は重要なインフラストラクチャーの一つとなっている。アルバックは真空技術を活かしてIBMの量子クライオスタットの仕様を満たす最先端の希釈冷凍機の開発に取り組んでおり、2025年後半にはIBMの量子データセンターでの試験が予定されている。

量子コンピューティングエコシステムに関する考察

日本の量子コンピューティングエコシステムの発展において、IBMと東京大学の協力関係は重要な基盤となっている。特に量子ハードウェアテストセンターの設立は、日本企業が量子コンピューティング分野に参入する機会を提供し、技術開発を加速させる効果をもたらしている。TDKやアルバックなどの企業が持つ専門技術を活かした開発が進められている点は、今後の発展に大きな期待が持てる。

一方で、量子コンピューティング技術の実用化には更なる技術革新が必要となるだろう。特に極低温環境の維持や量子ビットの安定性向上など、解決すべき課題は依然として存在しており、これらの課題に対する継続的な研究開発が求められている。産学連携をより一層強化し、各企業の技術力を結集することで、これらの課題を克服することが期待される。

今後は量子コンピューティング技術の標準化や相互運用性の確保も重要な課題となるだろう。日本のエコシステムが世界的なスタンダードの形成に貢献し、グローバルな量子コンピューティング市場においてリーダーシップを発揮することが望まれる。そのためにも、IBMと日本企業の協力関係を更に深化させ、技術開発と実用化を両輪で進めていく必要がある。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「グローバルな量子エコシステムの成長 - IBMは、量子コンピューターを構築するだけでなく、量子コンピューティング業界の基盤を築くために日本を含むグローバルで協業 | 日本アイ・ビー・エム株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000611.000046783.html, (参照 25-03-14).
2. IBM. https://www.ibm.com/jp-ja

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