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60iとは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


60iとは

60iはビデオカメラやテレビなどの映像機器において、インターレース方式で1秒間に60フィールドの映像を表示する規格です。この規格は主に北米やカナダ、南米の一部の国々で使用されており、フルハイビジョン放送の規格の一つとして知られています。

60iの「i」はインターレース(Interlace)の頭文字を表しています。インターレース方式は1フレームの画像を奇数行と偶数行に分け、交互に表示することで滑らかな動きを実現する技術です。60iの場合、1秒間に60フィールド(30フレーム)の映像が表示されることになります。

60iはリアルタイムの映像伝送に適しており、スポーツ中継やライブイベントなどの高速な動きを含む映像の撮影・配信に用いられます。また、テレビ放送の分野では60iの映像が広く採用されてきました。日本の地上波デジタル放送では60iが使用されていましたが、現在は60pに移行しつつあります。

一方で、60iの映像をモニターで表示する際にはちらつきが発生することがあります。これはインターレース方式特有の問題で、表示デバイスの性能や視聴環境によって異なります。近年ではちらつきを軽減するためのデインターレース技術が発展し、60iの映像をより快適に視聴できるようになっています。

60iと似た規格に60pがありますが、60pはプログレッシブ方式で1秒間に60フレームの映像を表示します。60pは60iに比べて滑らかで高品質な映像が得られますが、データ量が多くなるため、撮影や編集、配信には高性能な機器が必要となります。60iと60pは用途や環境に応じて使い分けられています。

60iの特徴と利点

60iに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • 60iの滑らかな動きを実現するインターレース方式
  • 60iのリアルタイム性と放送分野での活用
  • 60iとデインターレース技術の関係性

60iの滑らかな動きを実現するインターレース方式

60iの最大の特徴はインターレース方式を採用している点です。インターレース方式では1フレームの画像を奇数行と偶数行に分割し、交互に表示することで滑らかな動きを実現しています。この方式により、60iは1秒間に60フィールド(30フレーム)の映像を表示することができます。

インターレース方式は動きの速い被写体を撮影する際に効果を発揮します。例えば、スポーツ中継やダンスパフォーマンスなどの場面では60iの滑らかな映像が活きてきます。また、インターレース方式は伝送帯域を効率的に利用できるため、放送分野で長く使用されてきました。

ただし、インターレース方式には静止画像や文字の表示において、ちらつきや画像の乱れが生じるという欠点もあります。これは奇数行と偶数行の画像が時間差で表示されることに起因しています。そのため、60iの映像をモニターで表示する際にはちらつきが気になる場合があります。

60iのリアルタイム性と放送分野での活用

60iはリアルタイムの映像伝送に適した規格です。60フィールドの高いフレームレートにより、映像の遅延が少なく、スムーズな映像配信が可能となります。このリアルタイム性はスポーツ中継やニュース速報、ライブイベントなどの分野で重要視されています。

また、60iは放送分野で広く採用されてきました。アナログ放送の時代から、NTSC規格の一部として60iが使用されていました。デジタル放送への移行後も、北米や日本の地上波デジタル放送では60iが採用されてきました。放送機器やインフラが60iに対応しているため、放送局にとって馴染み深い規格だといえます。

しかし、近年ではハイビジョン放送やデジタルシネマの普及に伴い、プログレッシブ方式の60pへの移行が進んでいます。60pは60iと比べて高画質で自然な映像が得られるため、新しい放送サービスや映像制作の現場で採用されつつあります。ただし、60pへの完全移行には機器の更新やインフラの整備が必要となります。

60iとデインターレース技術の関係性

60iの映像をモニターで表示する際にはインターレース方式特有のちらつきが発生することがあります。このちらつきは視聴者の目の疲れや不快感につながる場合があります。そこで、デインターレース技術が開発されました。デインターレースはインターレース映像をプログレッシブ映像に変換することで、ちらつきを軽減する技術です。

デインターレースには様々な手法があります。例えば、フィールド間の動きを検出し、適切な補間を行うモーション・アダプティブ方式や、画像の特徴を分析し、エッジ部分を滑らかにするエッジ・アダプティブ方式などがあります。これらの技術により、60iの映像をより自然で見やすい映像に変換することができます。

現在では多くのテレビやディスプレイにデインターレース機能が搭載されています。また、ビデオ編集ソフトウェアにもデインターレース機能が用意されており、60iの映像を60pに変換することが可能です。デインターレース技術の発展により、60iの映像を快適に視聴できる環境が整ってきたといえるでしょう。

60iの映像制作におけるワークフロー

60iに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • 60iの映像制作に必要な機器と設定
  • 60i映像の撮影テクニックとポイント
  • 60i映像の編集とデータ管理の注意点

60iの映像制作に必要な機器と設定

60iの映像制作には対応するビデオカメラやレコーダー、モニターなどの機器が必要です。カメラの選択では60iに対応していることを確認する必要があります。また、カメラの設定ではフレームレートを60iに設定し、シャッタースピードや画角、ホワイトバランスなどを適切に調整することが重要です。

撮影した60iの映像を記録するには対応するビデオレコーダーやメモリーカードが必要です。記録メディアの容量や転送速度は60iの映像データ量に見合ったものを選ぶ必要があります。また、モニターに関しては60iの映像を正しく表示できるものを用意し、必要に応じてデインターレース機能を活用することが求められます。

60i映像の編集には対応する編集ソフトウェアとハードウェアが必要です。編集ソフトウェアでは60iのタイムラインやエフェクト、書き出し機能などに対応しているものを選ぶ必要があります。また、編集作業を快適に行うために、高性能なCPUGPU、大容量のRAMを搭載したコンピューターが望ましいでしょう。

60i映像の撮影テクニックとポイント

60iの映像を撮影する際にはインターレース方式の特性を理解し、適切なテクニックを用いることが重要です。例えば、カメラの動きを極力抑え、三脚を使用して安定した映像を撮影することが推奨されます。また、被写体の動きが速い場合はシャッタースピードを上げることで、動きのブレを抑えることができます。

60iの映像は水平方向の解像度が高いため、横方向のパンニングショットに適しています。一方で、上下方向の解像度は低くなるため、縦方向のティルトショットは避けたほうが良いでしょう。また、インターレース方式特有のちらつきを抑えるために、細かい模様やストライプ柄の被写体は避けることが望ましいです。

60iの映像は動きの滑らかさが特徴ですが、動きが速すぎると画面がぼやけてしまうことがあります。そのため、適度な速度で被写体を動かしたり、カメラを移動させたりすることが大切です。また、シーンの切り替えはなめらかにするために、十分な尺を取ることが推奨されます。

60i映像の編集とデータ管理の注意点

60iの映像を編集する際にはインターレース方式の特性を考慮する必要があります。例えば、映像のトリミングや合成、エフェクトの適用ではフィールドごとの処理が必要になる場合があります。また、タイトルや字幕の挿入ではフィールド単位での表示を考慮し、ちらつきを抑えるための工夫が求められます。

60i映像のデータ管理では大容量のデータを扱うことになるため、適切なストレージ環境を用意する必要があります。外付けのハードディスクやRAIDシステムを活用し、データの冗長化やバックアップを行うことが重要です。また、編集作業の効率化のために、データの整理や命名規則の統一、メタデータの付与などを行うことが望ましいでしょう。

編集した60iの映像を書き出す際には目的に応じた形式やコーデックを選択する必要があります。放送用の映像であれば、放送局の規定に沿ったフォーマットで書き出すことが求められます。また、インターネット配信用の映像では配信プラットフォームの仕様に合わせたフォーマットやビットレートで書き出すことが重要です。

60iから60pへの移行とその影響

60iに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • 60iから60pへの移行の背景と目的
  • 60pへの移行に伴う機器の対応と更新
  • 60pへの移行がもたらす映像制作への影響

60iから60pへの移行の背景と目的

近年、映像制作の現場では60iから60pへの移行が進んでいます。この移行の背景には高画質化や映像表現の多様化などの要因があります。60pはプログレッシブ方式で1秒間に60フレームの映像を表示するため、60iと比べて滑らかで高品質な映像が得られます。また、60pはデジタルシネマの標準フォーマットとしても採用されており、映画制作との親和性が高いといえます。

60pへの移行の目的はより高品質な映像体験を視聴者に提供することにあります。スポーツ中継や音楽ライブ、ドキュメンタリーなどの分野では60pの高フレームレートによる滑らかな映像が臨場感を高めます。また、ドラマや映画などの映像作品では60pの高解像度と広色域が、より繊細で豊かな映像表現を可能にします。

放送分野においても、60pへの移行が進められています。日本では2018年12月から4K8K放送が開始され、60pが採用されています。また、欧米諸国でも、次世代の放送規格であるATSC 3.0やDVB-T2において、60pが標準フォーマットとして位置づけられています。60pへの移行は放送サービスの高度化と視聴体験の向上を目指す取り組みといえるでしょう。

60pへの移行に伴う機器の対応と更新

60pへの移行に伴い、映像制作の現場では機器の対応と更新が必要となります。カメラや録画機器、編集システムなどは60pに対応したものに順次置き換えられていきます。特に、カメラについては60pの高フレームレートに対応したセンサーや画像処理エンジンを搭載したモデルが登場しています。また、記録メディアも、60pの大容量データに対応した高速SDカードやSSDが必要になります。

編集環境の整備も重要な課題です。60p映像の編集には高性能なコンピューターとソフトウェアが求められます。CPUやGPUの処理能力、メモリー容量、ストレージの速度などを十分に確保する必要があります。また、編集ソフトウェアも、60pのタイムラインやエフェクト、書き出し機能に対応している必要があります。

60pへの移行は放送局や制作会社にとって、設備投資の面で大きな負担となることがあります。しかし、将来的な映像制作の効率化や高品質化を見据えた投資として位置づけることができます。また、60p対応の機器は4K・8K映像の制作にも活用できるため、長期的な視点で設備更新を計画することが重要です。

60pへの移行がもたらす映像制作への影響

60pへの移行は映像制作のワークフローや表現手法に大きな影響を与えます。60pの高フレームレートはより滑らかで自然な映像表現を可能にしますが、同時に、データ量の増大やシステム負荷の増加につながります。そのため、撮影から編集、配信に至るまでの各工程で、データ管理や処理の最適化が求められます。

また、60pの高解像度と広色域は映像表現の可能性を広げる一方で、カメラワークや照明、美術などの技術的な工夫も必要になります。例えば、高解像度の映像では被写体の細部まで鮮明に捉えられるため、カメラの露出や焦点の合わせ方により注意が必要です。また、広色域の映像では色の再現性が高まるため、照明や美術のセットアップにおいても、より繊細な調整が求められます。

60pへの移行は映像クリエイターにとって、新たな表現の可能性を探求する機会でもあります。高フレームレートならではの映像表現や、高解像度・広色域を活かしたビジュアルデザインなど、クリエイティブな挑戦が期待されています。また、60p映像はバーチャルリアリティ(VR)やオーグメンテッドリアリティ(AR)などの新しいメディア体験にも適しているため、映像制作の領域が拡大していくことが予想されます。

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