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EISA(Extended Industry Standard Architecture)とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


EISA(Extended Industry Standard Architecture)とは

EISA(Extended Industry Standard Architecture)はパーソナルコンピュータのバス規格の一つです。EISAはISA(Industry Standard Architecture)の拡張版として開発されました。

EISAは16ビットISAバスと下位互換性を保ちつつ、32ビットのデータバス幅とバーストモード転送に対応しています。これにより、ISAよりも高速なデータ転送が可能となりました。

EISAは1988年に発表され、1990年代前半に主要なPC/AT互換機で採用されました。しかし、より高速なPCI(Peripheral Component Interconnect)バスの登場により、次第に使用されなくなっていきます。

EISAは最大8つのスロットを持ち、各スロットは32ビットのデータバスと26ビットのアドレスバスを持っています。また、EISAはプラグアンドプレイ機能やDMA(Direct Memory Access)機能をサポートしており、ハードウェアの自動設定や高速なデータ転送を可能にしました。

EISAはISAの限界を克服し、当時のPCの性能向上に貢献しました。しかし、より高性能なPCIバスの登場により、EISAは徐々に使用されなくなっていったのです。

EISAの特徴と利点

EISAの特徴と利点に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • ISAとの下位互換性を維持しつつ32ビットデータバスを実現
  • バーストモード転送による高速なデータ転送
  • プラグアンドプレイ機能とDMAのサポート

ISAとの下位互換性を維持しつつ32ビットデータバスを実現

EISAは16ビットISAバスとの下位互換性を維持しながら、32ビットのデータバス幅を実現しました。これにより、既存のISA対応カードを使用しつつ、より高速なデータ転送が可能になったのです。

EISAはISAのスロットと物理的に互換性があり、ISAカードをEISAスロットに差し込むことができました。このような設計により、ユーザーはISAカードを引き続き使用しながら、徐々にEISA対応カードに移行することが可能になりました。

また、EISAは32ビットのデータバス幅を持つことで、ISAの16ビットデータバスよりも高速なデータ転送を実現しました。これにより、CPUとメモリ、周辺機器間のデータのやり取りがスムーズになり、システム全体のパフォーマンスが向上したのです。

バーストモード転送による高速なデータ転送

EISAはバーストモード転送をサポートしており、連続したデータを高速に転送することができました。バーストモード転送ではアドレスを指定した後、複数のデータを連続して転送できます。

バーストモード転送では最初のデータ転送時にアドレスを指定し、その後は連続したデータを高速に転送することができました。これにより、データ転送のオーバーヘッドが削減され、効率的なデータ転送が可能になったのです。

EISAのバーストモード転送は最大33MB/sの転送速度を実現しました。これはISAの最大転送速度である8.33MB/sの約4倍に相当します。バーストモード転送により、EISAはISAよりも高速なデータ転送を可能にしたのです。

プラグアンドプレイ機能とDMAのサポート

EISAはプラグアンドプレイ機能をサポートしており、ハードウェアの自動設定を可能にしました。プラグアンドプレイ機能により、ユーザーはEISA対応カードを差し込むだけで、自動的に設定が行われるようになったのです。

また、EISAはDMA(Direct Memory Access)機能をサポートしており、CPUを介さずに直接メモリとデータをやり取りすることができました。DMAにより、CPUの負荷を減らしつつ、高速なデータ転送が可能になります。

EISAは最大7チャネルのDMAをサポートしており、各チャネルは8ビット、16ビット、32ビットの転送に対応していました。DMAにより、EISAは効率的なデータ転送を実現し、システム全体のパフォーマンスを向上させたのです。

EISAの歴史と発展

EISAの歴史と発展に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • ISAの限界とEISAの開発
  • EISAの普及と対応製品
  • PCIバスの登場とEISAの衰退

ISAの限界とEISAの開発

1980年代、パーソナルコンピュータの主要なバス規格であったISA(Industry Standard Architecture)は8ビットや16ビットのデータバス幅と低速なクロック周波数により、次第にその限界が見えてきました。CPUの性能向上に伴い、ISAではデータ転送がボトルネックになっていたのです。

このような状況の中、コンパック、HP、NEC、エプソンなど9社が中心となり、ISAの限界を克服する新しいバス規格として、EISAの開発が始まりました。EISAはISAとの互換性を維持しつつ、32ビットデータバスとバーストモード転送を導入することで、高速なデータ転送を実現することを目指したのです。

EISAの開発には多くのコンピュータメーカーが参加し、業界標準としての地位を確立するために協力しました。そして、1988年にEISAが正式に発表され、新しいバス規格として注目を集めることになったのです。

EISAの普及と対応製品

EISAは発表後、多くのコンピュータメーカーによって採用され、1990年代前半に普及していきました。コンパックやHP、NEC、エプソンなどのメーカーがEISA対応のマザーボードを発売し、EISAスロットを搭載したPC/AT互換機が登場したのです。

また、EISAに対応した拡張カードも数多く発売されました。SCSIカード、ネットワークカード、ビデオカードなど、様々な種類のEISA対応カードが登場し、ユーザーはEISAの高速なデータ転送を活用することができるようになりました。

EISAは当時の最新テクノロジーを採用したバス規格として、高性能なシステムを構築するために使用されました。特に、サーバーやワークステーションなどの高性能が要求される分野で、EISAは重要な役割を果たしたのです。

PCIバスの登場とEISAの衰退

1990年代半ば、インテルを中心とするPCI Special Interest Group(PCI-SIG)によって、新しいバス規格であるPCI(Peripheral Component Interconnect)が開発されました。PCIはEISAよりもさらに高速なデータ転送を可能にし、プラグアンドプレイ機能や省電力機能なども備えていました。

PCIの登場により、EISAは次第に使用されなくなっていきました。PCIはEISAよりも高性能で柔軟性が高く、多くのメーカーがPCIを採用するようになったのです。また、PCIはCPUやチップセットとの統合が進み、システム全体の性能向上に大きく貢献しました。

EISAはPCIという強力な競合規格の登場により、徐々にその地位を失っていきました。2000年代に入ると、EISAを採用する製品はほとんど見られなくなり、PCIがパーソナルコンピュータの主要なバス規格として定着したのです。

EISAの技術的特徴と仕様

EISAの技術的特徴と仕様に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • 32ビットデータバスとアドレス空間
  • バーストモード転送とデータ転送速度
  • EISAのスロットと物理的仕様

32ビットデータバスとアドレス空間

EISAは32ビットのデータバスを採用しており、ISAの16ビットデータバスよりも高速なデータ転送を可能にしました。32ビットデータバスにより、一度に転送できるデータ量が増加し、システムの性能が向上したのです。

また、EISAは4GBのアドレス空間をサポートしており、大容量のメモリやI/Oデバイスを扱うことができました。これはISAの16MBのアドレス空間と比べて大幅な拡張であり、より多くのメモリを搭載したシステムを構築することが可能になりました。

EISAの32ビットデータバスと4GBのアドレス空間は当時の技術的な制約の中で、システムの性能と拡張性を大きく向上させる役割を果たしたのです。これらの特徴により、EISAは高性能なシステムを構築するための重要な基盤となりました。

バーストモード転送とデータ転送速度

EISAはバーストモード転送をサポートしており、連続したデータを高速に転送することができました。バーストモード転送では最初のデータ転送時にアドレスを指定し、その後は連続したデータを高速に転送できます。

EISAのバーストモード転送は最大33MB/sのデータ転送速度を実現しました。これはISAの最大転送速度である8.33MB/sの約4倍に相当し、大幅な性能向上を達成したのです。バーストモード転送により、CPUとメモリ、周辺機器間のデータのやり取りがスムーズになり、システム全体のパフォーマンスが向上しました。

また、EISAはメモリサイクルタイムを短縮することで、メモリアクセスの高速化も実現しました。EISAのメモリサイクルタイムはISAの2倍の速度である8.33MHzで動作し、メモリアクセスの効率を大きく改善したのです。

EISAのスロットと物理的仕様

EISAスロットはISAスロットとの互換性を維持しつつ、32ビットデータバスと拡張された信号ピンを持っています。EISAスロットはISAスロットよりも長く、98ピンで構成されています。

EISAスロットはISAカードを差し込むことができる設計になっており、下位互換性を確保しています。また、EISAカードはISAスロットには差し込むことができないようになっており、誤った挿入を防止する工夫がなされています。

EISAの物理的仕様はバックプレーンに最大8つのEISAスロットを搭載できるようになっています。各スロットは32ビットのデータバスと26ビットのアドレスバスを持ち、IRQやDMAなどの信号線も拡張されました。これにより、EISAは高い拡張性を実現したのです。

参考サイト

  1. NEC. https://jpn.nec.com/
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