千葉銀行がサンケイビル向けサステナビリティ・リンク・ローンを実行、CO2排出量削減目標の達成を支援

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

千葉銀行がサンケイビル向けSLLを実行
サンケイビルはCO2排出量削減目標を設定
地域社会の課題解決に貢献する取り組み

千葉銀行によるサステナビリティ・リンク・ローンの実行

千葉銀行は2024年9月30日、株式会社サンケイビルに対してサステナビリティ・リンク・ローン（SLL）を実行した。SLLは事業者がSDGs・ESG戦略における目標値となるサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット（SPT）を設定し、その達成状況に応じてインセンティブやディスインセンティブが発生する融資制度だ。^[1]

サンケイビルは2022年10月に「サステナビリティ・リンク・ローン・フレームワーク」を策定し、2029年度のCO2総排出量（Scope1・2）を2013年度対比で60%以下とすることをSPTとして設定した。今回のSLLは、このフレームワークで設定したSPTに基づく取り組みとなっている。本フレームワークの適合性およびSPTの適切性については、株式会社格付投資情報センターよりセカンドオピニオンを取得している。

千葉銀行グループは「一人ひとりの思いを、もっと実現できる地域社会にする」をパーパスに掲げ、事業者のサステナビリティ経営および企業価値向上に貢献するとともに、地域社会のパートナーとして、社会・環境課題の解決に資する取り組みを一層推進している。地域に寄り添うエンゲージメントバンクグループを目指し、今後も継続的な支援を行っていく方針だ。

サステナビリティ・リンク・ローンの概要

項目	詳細
実行日	2024年9月30日
借入人	株式会社サンケイビル
SPT	2029年度のCO2総排出量（Scope1・2）を2013年度対比で60%以下
フレームワーク策定日	2022年10月
セカンドオピニオン提供者	株式会社格付投資情報センター

SPTについて

SPTとは「サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット」の略称で、SDGs・ESG戦略における事業挑戦目標を指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

企業のサステナビリティ戦略に基づく具体的な数値目標
達成状況に応じて金利条件が変動する仕組み
第三者機関による適切性の評価が必要

サンケイビルが設定したSPTは、2029年度のCO2総排出量（Scope1・2）を2013年度対比で60%以下とすることだ。この目標は、パリ協定の目標達成に向けた科学的根拠に基づく削減目標（SBT）に準拠しており、企業の環境負荷低減への具体的な取り組みを示している。SPTの設定により、企業の環境配慮への姿勢が明確化され、投資家や顧客からの評価向上にもつながる可能性がある。

サステナビリティ・リンク・ローンに関する考察

サステナビリティ・リンク・ローンの導入は、企業の環境・社会課題への取り組みを促進する有効な金融手法として評価できる。特に、CO2排出量削減という具体的な目標を設定することで、企業の環境負荷低減への取り組みが可視化され、ステークホルダーからの信頼獲得にもつながるだろう。一方で、目標達成が困難な場合には金利上昇というペナルティが課されるため、企業にとっては大きな挑戦となる可能性もある。

今後の課題として、SPTの設定基準の標準化や、目標達成度の評価方法の確立が挙げられる。業界や企業規模によってCO2排出量の削減余地は異なるため、公平かつ適切な目標設定方法の確立が求められるだろう。また、SPTの達成状況を正確に測定し、透明性高く報告する仕組みづくりも重要だ。これらの課題に対しては、第三者機関による評価制度の充実や、業界団体による自主ガイドラインの策定などが解決策として考えられる。

将来的には、CO2排出量以外の環境・社会指標も含めた多面的なSPTの設定や、中小企業向けのSLL普及促進策の導入が期待される。金融機関には、企業のサステナビリティ戦略に対する理解を深め、適切なアドバイスを提供する役割が求められるだろう。SLLを通じて、企業の持続可能な成長と社会課題の解決の両立が実現されることを期待したい。