静岡県が不登校児童・生徒向け3Dメタバースのバーチャルスクールを構築、DNPとレノボが協力し学びの選択肢を拡大

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

静岡県が不登校児童・生徒向けバーチャルスクールを構築
DNPとレノボ・ジャパンが業務委託を受託
3Dメタバースで居場所と学びの場を提供

静岡県の不登校児童・生徒向け3Dメタバース型バーチャルスクール

大日本印刷株式会社（DNP）とレノボ・ジャパン合同会社は、静岡県の「令和6年度バーチャルスクール構築等業務委託」に採択され、2025年1月から不登校の児童・生徒に向けた3Dメタバースを活用した居場所と学びの場の提供を開始する。静岡県の全35自治体の約800校を対象とし、オンライン支援員やWeb学習コンテンツ等の体験活動を通じて学びの選択肢を増やす取り組みだ。^[1]

このバーチャルスクールは、3Dメタバース内でオンラインによる「交流」「学習」「体験」の三つのキーワードで児童・生徒に学びの場を提供する。GIGAスクール構想で使用される多様な情報端末でも、Webブラウザーで快適に動作する3Dメタバースを提供し、児童・生徒の参加意欲向上を図る。また、40種類のアバターから自由に選択し、豊かな感情表現が可能となっている。

メタバース内には学習用、おしゃべり用、展示用などの多様な"場"が設けられ、オンライン支援員が児童・生徒に寄り添う。さらに、「恐竜」をテーマとしたイベントや社会科見学、オンライン部活動なども開催し、児童・生徒の参加を促進する。DNPとレノボ・ジャパンは、今後もメタバースを活用した教育サービスの提供を通じて、全国の自治体や教育現場の活動支援を継続していく方針だ。

静岡県バーチャルスクールの特徴まとめ

	3Dメタバース	オンライン支援	コンテンツ
主な特徴	Webブラウザーで動作	オンライン支援員が寄り添う	多様な体験活動を提供
利用環境	GIGA端末対応	多様な"場"を設定	イベントや社会科見学を実施
ユーザー体験	40種類のアバターを選択可能	プライベート空間での面談	オンライン部活動を開催

メタバース空間を利用した教育システムの詳細はこちら

3Dメタバースについて

3Dメタバースとは、三次元の仮想空間をインターネット上に構築し、ユーザーが自由に交流や活動を行える環境のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

リアルタイムでの3D空間でのインタラクション
アバターを通じた自己表現と他者とのコミュニケーション
現実世界を模した空間や全く新しい環境の創造が可能

静岡県のバーチャルスクールでは、このメタバース技術を教育に応用し、不登校の児童・生徒に新たな学びの場を提供する。Webブラウザーで動作する3Dメタバースにより、GIGAスクール構想で整備された端末からでもアクセスが可能となり、場所を選ばず学習や交流の機会を得られる環境を実現している。

静岡県バーチャルスクールに関する考察

静岡県のバーチャルスクール構築は、不登校児童・生徒の教育支援において革新的なアプローチだ。3Dメタバースを活用することで、物理的な制約を超えた学びの場を提供し、児童・生徒の社会参加への新たな道を開く可能性がある。一方で、デジタルデバイドや過度なオンライン依存などの課題も懸念され、リアルな人間関係構築との両立が求められるだろう。

今後は、メタバース空間内でのいじめや不適切な行動への対応策が重要となる。オンライン支援員の適切な配置やAIを活用した監視システムの導入など、安全で健全な学習環境の維持が不可欠だ。また、個々の学習進捗に応じたカリキュラムの提供やリアルな体験とのハイブリッド型学習プログラムの開発など、メタバースの特性を活かした教育コンテンツの充実が期待される。

このバーチャルスクールの成功は、不登校問題だけでなく、地理的制約のある地域の教育格差解消や、病気療養中の児童・生徒への学習支援など、幅広い教育課題への応用可能性を示唆している。教育のデジタル化が進む中、メタバースを活用した学びのあり方が、今後の教育システムの新たなスタンダードとなる可能性を秘めている。