PayPayが開成学園の食堂に導入決定、生徒開発アプリで学食のキャッシュレス化を促進

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約
PayPayが開成学園の食堂で決済サービスを提供開始
PayPayの学校導入状況まとめ
Open Payment APIについて
PayPayの学校導入に関する考察
参考サイト

記事の要約

PayPayが開成学園の食堂でモバイル決済を導入
生徒開発の「学食ネット」アプリにPayPay決済を採用
2024年9月以降に導入予定で混雑緩和を期待

PayPayが開成学園の食堂で決済サービスを提供開始

PayPay株式会社は2024年9月以降、学校法人私立開成学園（開成高等学校）の食堂で導入されるモバイル注文Webアプリ「学食ネット」に決済方法として「PayPay」が採用されることを発表した。このアプリは開成高等学校の3年生と2年生の2名の生徒が企画提案から開発までを担当し、PayPayの「Open Payment API」を活用して実現したものだ。^[1]

このシステム導入の背景には、食券機に並ぶ列の混雑という課題がある。生徒自身が実施したアンケート調査によると、約6割の生徒が食券機の待ち時間が長く利用を諦めたことがあり、半数以上が食べる時間が足りず急いで食事をしたことがあると回答している。また、食堂会社も列の混雑による機会損失のリスクを感じており、この課題解決のためにモバイル注文Webアプリの導入を決定した。

新システムの導入により、生徒は休み時間に昼食メニューを選び、好きな時間に昼食を受け取ることが可能になる。これにより、利用時間の分散および食券機に並ぶ混雑の緩和が期待されている。さらに、アンケート調査で回答した生徒の7割が「PayPay」を利用していたことも、決済方法として「PayPay」が採用された理由の一つだ。

PayPayの学校導入状況まとめ

	導入場所	導入時期	開発者	期待される効果
開成学園の事例	食堂	2024年9月以降	生徒2名	混雑緩和、利用時間分散
全国展開状況	学園祭、部活動費など	2024年度から本格始動	-	学校のキャッシュレス化促進
若年層ユーザー数	-	2024年6月末時点	-	前年同期比約3割増

Open Payment APIについて

Open Payment APIとは、PayPayが開発者向けに公開しているApplication Programming Interfaceのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

PayPay決済機能を外部アプリケーションに組み込むことが可能
開発者が独自のアプリやサービスにPayPay決済を実装できる
決済処理の安全性と利便性を両立したAPI設計

Open Payment APIを活用することで、開成学園の生徒たちは独自のモバイル注文Webアプリ「学食ネット」にPayPay決済機能を実装することができた。このAPIの公開により、PayPayはより多くの場面でのキャッシュレス決済の普及を促進している。さらに、開発者コミュニティとの連携を強化し、新たな決済ソリューションの創出にも貢献している。

PayPayの学校導入に関する考察

PayPayが開成学園の食堂に導入されることは、学校現場のデジタル化とキャッシュレス化を促進する重要な一歩だ。生徒自身が開発に関わったことで、ユーザーのニーズに即したシステムが構築され、より高い利用率と満足度が期待できる。一方で、スマートフォンの学校内での使用に関するルール作りや、決済システムのセキュリティ確保など、新たな課題への対応も必要になるだろう。

今後は、決済データの分析による食堂メニューの最適化や、学費支払いなど他の学校関連支払いへのPayPay導入拡大が考えられる。また、生徒の金銭教育の一環としてPayPayの利用を位置づけ、計画的な支出管理を学ぶ機会を提供することも可能だ。さらに、他校への展開や学校間での決済システムの標準化など、教育現場全体のデジタルトランスフォーメーションにつながる可能性がある。

PayPayにとっては、若年層のユーザー獲得と利用習慣の形成という点で、学校への導入は戦略的に重要だ。今回の開成学園での成功事例を基に、全国の学校への展開を加速させることで、将来的な顧客基盤の拡大につながるだろう。一方で、未成年者の利用に関する配慮や、学校側との緊密な連携体制の構築など、責任ある事業展開が求められる。