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公開：2024-07-18

ヤマザワとBIPROGYが見切り業務DX実験開始、自動値引きで生産性向上とフードロス削減へ

text: XEXEQ編集部

記事の要約

• ヤマザワとBIPROGYが見切り業務DXの実証実験開始
• デジタルサイネージやESLで値引き表示を代替
• 計量ラベルプリンターとPOSシステムの連携による自動値引き

スーパーマーケットにおける見切り業務のDX化

ヤマザワとBIPROGYは、スーパーマーケットにおける見切り業務の抜本的な改革に乗り出した。従来、消費期限の短い惣菜類に従業員が直接見切りシールを貼付する作業は、惣菜部門の労働力の約8%を占める重要な業務であった。この人手に頼る作業を、最新のデジタル技術を駆使して効率化する取り組みが始まったのだ。^[1]

実証実験では、見切りシールをデジタルサイネージやESL（電子棚札）での表示に置き換える。これにより、従業員による手作業の負担が大幅に軽減されるだけでなく、より柔軟かつ迅速な価格変更が可能になる。さらに、イシダの計量ラベルプリンターと東芝テックのPOSシステムを連携させることで、最適なタイミングでの自動値引きを実現する仕組みを構築する。

この取り組みは、単なる業務効率化にとどまらない。消費者の購買行動に合わせた適切な価格設定や、需要と供給のバランスを取りやすくなることで、フードロス削減にも大きく貢献すると期待される。実証実験の成果次第では、小売業界全体のDX推進に向けた重要な一歩となる可能性を秘めている。

ESL（電子棚札）とは

ESL（Electronic Shelf Label）とは、電子ペーパーなどのディスプレイを用いた商品棚用の電子値札システムのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• 価格表示をデジタル化し、遠隔で一括更新が可能
• ペーパーレス化による環境負荷低減
• 人為的ミスの削減と労力の軽減
• リアルタイムの価格戦略実施が可能
• 在庫情報や商品詳細の表示にも活用可能

ESLは小売業のデジタルトランスフォーメーション（DX）において重要な役割を果たす。価格変更の自動化や迅速化だけでなく、消費者に対してより詳細な商品情報を提供することも可能だ。また、バックエンドシステムとの連携により、需要予測や在庫管理の最適化にも貢献する。

実証実験の影響と期待される効果

ヤマザワとBIPROGYによる見切り業務のDX化実証実験は、小売業界に大きな波紋を投げかける可能性を秘めている。従来、人手に頼っていた見切り作業を自動化することで、労働力の再配分が可能になる。これにより、従業員はよりクリエイティブな業務や顧客サービスの向上に注力できるようになるだろう。

さらに、この取り組みはフードロス問題への新たなアプローチとしても注目される。AIを活用した需要予測と連動させることで、より精緻な値引き戦略の立案が可能になる。結果として、食品廃棄量の削減と収益性の向上という、一見相反する課題の同時解決につながる可能性がある。

スーパーマーケットのDXに関する考察

ヤマザワとBIPROGYの取り組みは、スーパーマーケット業界におけるDXの先駆的事例として評価できる。しかし、新システムの導入には初期投資や従業員の再教育など、乗り越えるべき課題も多い。特に、中小規模の小売店にとっては、コスト面でのハードルが高くなる可能性がある。

一方で、この技術の普及により、スーパーマーケットの在り方そのものが変わる可能性もある。例えば、リアルタイムの需要に応じた動的価格設定や、個々の顧客に合わせたパーソナライズされた値引き提案など、より柔軟な販売戦略が可能になるだろう。これは、消費者にとってもメリットとなる。

また、今後はAIやIoT技術との連携がさらに進むことが予想される。例えば、店舗内の顧客動線分析と連動した自動値引きシステムの構築や、天候や近隣イベントなどの外部要因を考慮した需要予測モデルの開発などが考えられる。これにより、より精緻な在庫管理と販売戦略の立案が可能になるだろう。

スーパーマーケットのDX化は、単なる業務効率化にとどまらず、食品ロス削減や持続可能な消費行動の促進など、社会的課題の解決にも貢献する可能性を秘めている。今後、この実証実験の結果を踏まえ、業界全体でのベストプラクティスの共有や標準化の議論が活発化することが期待される。

参考サイト

1. ^ 株式会社ヤマザワ. 「食品の値引きシールをデジタル化し、従業員の見切り業務廃止とフードロス削減を目的とした実証実験開始」. https://www.biprogy.com/pdf/news/nr_240716.pdf, (参照 24-07-18).

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