横浜市がNSER mobile実証開始、救急活動の効率化と情報共有の円滑化を目指す取り組み

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

横浜市で救急医療情報システム「NSER mobile」の実証開始
救急活動の時間短縮と効率的な情報共有が目的
TXP Medicalが北部エリアで7救急隊と3医療機関が参加

横浜市の救急活動にNSER mobileを導入、効率化を目指す

横浜市は2024年10月7日より、TXP Medical社が開発した救急医療情報システム「NSER mobile」による救急搬送の検証事業を開始した。この実証事業は、救急活動の時間短縮と救急隊と医療機関間の正確かつ効率的な情報共有を目的としている。横浜市内を北部・中部・南部の3エリアに分け、各エリアで異なるシステムの実証が行われる予定だ。^[1]

TXP Medicalが担当する北部エリアでは、7つの救急隊と市内3か所の医療機関が参加する。この取り組みの背景には、横浜市内の救急出場件数の増加がある。2023年の出場件数は過去最多の254,626件を記録し、2024年前期も前年同期比5.4%増の123,273件となっている。

横浜市は過去10年間で救急隊を21隊増やし85隊体制に強化し、2024年度中にさらに2隊増隊する予定だ。しかし、救急出場から現場到着までの平均時間は2013年の6.8分から2023年には8.8分に延伸している。NSER mobileの導入により、これらの課題解決と救急活動のDX推進が期待される。

NSER mobileの特徴と期待される効果

項目	詳細
主な目的	救急活動の時間短縮と効率的な情報共有
実証エリア	横浜市北部・中部・南部の3エリア
TXP Medical担当エリア	北部エリア（7救急隊、3医療機関が参加）
期待される効果	応需確認開始から病院決定までの時間短縮
システム特徴	AIを活用した効率的な患者情報収集と共有
導入背景	救急出場件数の増加と活動時間の延伸

救急医療情報システムについて

救急医療情報システムとは、救急活動における情報共有や意思決定を支援するためのデジタルプラットフォームのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

リアルタイムでの患者情報共有
AIを活用した効率的なデータ収集と分析
医療機関の受入れ状況の可視化

NSER mobileは、従来の電話と紙の帳票によるコミュニケーションをデジタル化することで、救急医療の見える化を実現する。救急車に配備されたタブレットでAIを活用し効率的に収集した患者情報を迅速に搬送先病院に送信し、病院の受け入れ準備を効率化する。これにより、搬送業務や情報共有の大幅な改善が期待される。

横浜市の救急医療DXに関する考察

横浜市におけるNSER mobileの導入は、増加する救急需要に対応するための革新的な取り組みとして評価できる。AIを活用した効率的な情報収集と共有により、救急隊の現場活動時間の短縮や医療機関の受入対応の円滑化が期待される。一方で、新システムの導入に伴う救急隊員や医療従事者の習熟度の差が、初期段階では効率化を妨げる可能性もあるだろう。

この課題に対しては、段階的な導入と継続的なトレーニングプログラムの実施が有効な解決策となり得る。また、今後はNSER mobileの機能拡張として、救急車内での遠隔医療相談や、AIによる傷病者の重症度判定支援など、より高度な機能の追加が期待される。これらの機能は、限られた医療資源の最適配分にもつながる可能性がある。

横浜市の取り組みが成功すれば、他の自治体にも同様のシステム導入が広がることが予想される。さらに、蓄積されたデータを活用した救急医療政策の立案や、地域ごとの救急需要予測など、より広範囲な医療DXへの発展も期待できる。NSER mobileの実証結果を注視し、全国の救急医療体制の改善につながることを期待したい。

参考サイト

^ PR TIMES. 「横浜市の救急活動の新ソリューションとしてNSER mobileの実証がスタート | TXP Medical株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000098.000031630.html, (参照 24-10-03).

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