明治安田生命がLGBTQ向け専用窓口を開設、保険サービスの包摂性向上へ大きな一歩

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

明治安田生命がLGBTQ専用窓口を開設
専任コミュニケーターが対応し安心感を提供
同性パートナーへの保険金受取人指定など対応

明治安田生命、LGBTQ向け専用お問い合わせ窓口を開設

明治安田生命保険相互会社は2024年10月16日より、コミュニケーションセンターに「LGBTQのお客さま向けお問い合わせ窓口」を開設した。この専用窓口では、LGBTQやSOGI（性的指向・性自認）に関する社外研修を受けた専任のコミュニケーターが対応し、当事者の心情やニーズを理解した上で保険契約に関する各種問い合わせに対応する体制を整えている。^[1]

この取り組みの背景には、2023年6月に施行された「性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進法」がある。社会的に性の多様性への理解が求められる中、多くの当事者がアウティングの不安から保険会社への接触を躊躇したり、心情を十分理解した担当者による対応を望んでいるという実態が明らかになったのだ。明治安田生命はこうしたニーズに応えるべく、専用窓口の開設に踏み切った。

明治安田生命は「みんなにやさしい保険アクセス」という金融包摂の取り組みを推進しており、LGBTQの方々を含むさまざまな特性を持つ顧客の不便を解消することを目指している。今回の専用窓口開設もその一環であり、今後も各種取り組みのさらなる高度化を図っていく方針を示している。

LGBTQ向け専用窓口の概要と対応内容

	詳細
開設日	2024年10月16日
お問い合わせ窓口	0120-121-834
受付時間	月曜〜金曜 9:00〜17:00（祝日・年末年始を除く）
対応内容	保険契約に関する各種問い合わせ
同性パートナーの死亡保険金受取人等への指定	一定の要件のもと可能
同性パートナーによる代理請求	特別な事情がある場合に可能
同性パートナーの第二連絡先登録	MY安心ファミリー登録制度で可能
性別変更の取扱い	法律上の性別変更時に契約上の性別変更が可能

アウティングについて

アウティングとは、本人の性のあり方を同意なく第三者に暴露してしまうことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

当事者の意思に反して行われる個人情報の開示
深刻な精神的苦痛や社会生活上の不利益を引き起こす可能性
LGBTQコミュニティにおいて重大な人権侵害と認識されている

明治安田生命の新設された専用窓口は、このアウティングへの不安を抱える顧客に対応するものだ。専任のコミュニケーターが対応することで、顧客の性的指向や性自認に関する情報が不用意に第三者に漏れることを防ぎ、安心して保険に関する相談ができる環境を提供している。これにより、LGBTQの顧客が抱える保険加入や契約管理に関する障壁を低減することが期待される。

LGBTQ向け専用窓口開設に関する考察

明治安田生命のLGBTQ向け専用窓口の開設は、金融サービスにおける包摂性の向上という点で高く評価できる。この取り組みにより、LGBTQの顧客が安心して保険サービスにアクセスできるようになり、従来見過ごされがちだった顧客層のニーズに応えることが可能になるだろう。また、社会全体のダイバーシティ＆インクルージョンの推進にも寄与する可能性がある。

一方で、今後の課題としては、専用窓口の存在自体が一種のラベリングになり、逆差別の懸念を生む可能性も考えられる。また、専任コミュニケーターの育成や継続的な研修など、サービスの質を維持するための体制づくりも重要だ。これらの課題に対しては、LGBTQコミュニティとの継続的な対話や、サービス利用者からのフィードバックを積極的に取り入れることで、より適切なサービス提供が可能になるだろう。

今後は、保険商品自体のLGBTQフレンドリーな設計や、他の金融機関との連携によるサービスの拡充なども期待したい。さらに、この取り組みをモデルケースとして、他の業界にも同様の取り組みが広がることで、社会全体のLGBTQ理解が深まり、より包摂的な社会の実現につながることを期待する。