プログラミング

PROGRAMMING

公開：2025-02-01

Dart開発チームがマクロ機能の開発を中止、性能面の課題解決が困難と判断し今後はデータ処理機能の改善に注力

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• Dart 3.4のマクロ機能開発が中止に
• コンパイル時の性能問題が主な要因
• データ処理機能の代替開発に注力へ

Dart言語のマクロ機能開発が中止に

Googleが主導で開発を進めているプログラミング言語Dartの開発チームは、Dart 3.4で試験導入されていたマクロ機能の開発中止を2025年1月30日に発表した。マクロ機能は静的メタプログラミングの実現を目指して数年にわたり開発が進められてきたが、技術的な課題が次々と浮上し開発の継続が困難になったことが開発中止の主な理由となっている。^[1]

開発チームは従来の構文ベースのアプローチではなく、コンパイル時にプログラムの意味的な解析を行うセマンティックイントロスペクションという野心的な手法を採用していた。この手法は静的解析やコード補完、インクリメンタルコンパイルなどの性能に大きな影響を与え、開発チームが目指す性能目標を達成することが困難であることが判明したのだ。

マクロ機能の開発中止を受け、開発チームは今後データハンドリングやシリアライゼーションの改善に注力する方針を示している。また既存のコード生成機能の改善やaugmentationsと呼ばれる新機能の開発も進められており、マクロ機能に代わる新たな開発者支援機能の提供が期待されている。

Dartマクロ機能の開発中止まとめ

セマンティックイントロスペクションについて

セマンティックイントロスペクションとは、プログラムの構文だけでなく意味的な構造を解析する技術のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• プログラムの意味的な構造を詳細に分析可能
• 高度なメタプログラミング機能の実現に適している
• コンパイル時の静的解析に基づく最適化が可能

Dartの開発チームはセマンティックイントロスペクションを採用することで、静的言語の堅牢性と動的言語の開発効率の両立を目指していた。しかしこの手法はコンパイル時に大きな処理コストを必要とし、特にステートフルホットリロードなどの開発者体験に影響を与える問題が発生していたのである。

Dartマクロ機能の開発中止に関する考察

マクロ機能の開発中止は、開発者体験を重視するDart言語の基本方針に基づく決断として評価できる。静的メタプログラミングの実現は多くの開発者が望む機能であったが、コンパイル時のパフォーマンス低下は開発効率に直接影響を与えるため、開発中止の判断は理にかなっているだろう。

今後の課題として、データハンドリングやシリアライゼーションの改善に向けた新たなアプローチの確立が挙げられる。マクロ機能に代わる解決策として、言語レベルでの直接的なサポートや既存のコード生成機能の拡張など、複数のアプローチを検討する必要があるだろう。

長期的には、静的メタプログラミングの実現手法についても再検討が必要になるかもしれない。セマンティックイントロスペクションに代わる新たな技術や、部分的な機能提供など、より実用的なアプローチを模索することで、開発者体験を損なわない形でのメタプログラミング機能の実現が期待される。

参考サイト

1. ^ Medium. 「An update on Dart macros & data serialization | by Vijay Menon | Dart | Jan 2025 | Medium」. https://medium.com/dartlang/an-update-on-dart-macros-data-serialization-06d3037d4f12, (参照 25-02-01).
2. Google. https://blog.google/intl/ja-jp/

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