KDDIがリテール向け店舗開発ソリューションを提供開始、ビッグデータ活用で業界のDXを加速

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約
KDDIのリテール向け店舗開発ソリューション「KDDI Retail Data Consulting」
KDDI Retail Data Consultingの機能まとめ
WAKONXについて
KDDI Retail Data Consultingに関する考察
参考サイト

記事の要約

KDDIがリテール向け店舗開発ソリューションを提供開始
位置情報・興味関心データを活用した売上予測・店舗開発支援
5種類のパックで店舗開発業務の効率化に貢献

KDDIのリテール向け店舗開発ソリューション「KDDI Retail Data Consulting」

KDDIは2024年8月20日から、リテール業界向けの店舗開発ソリューション「KDDI Retail Data Consulting」の提供を開始した。このソリューションは、KDDIが保有する位置情報データや興味関心データと、顧客の店舗売上・会員情報などのデータを組み合わせてダッシュボード化するものだ。新店舗の出店候補地分析や売上予測支援など、5種類のパックを提供している。^[1]

本ソリューションの特徴は、KDDIのビッグデータと顧客の社内データを組み合わせて活用することにある。これにより、客観的データに基づいた候補地評価や出店判断が可能となり、店舗開発業務の効率化に大きく貢献する。KDDIは2024年5月から始動したAI時代の新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX」の一環として、リテール業界向けに「WAKONX Retail」を展開している。

リテール業界が直面する課題として、消費者ニーズの多様化や慢性的な人手不足、急激な人流の変化への対応が挙げられる。KDDIの新ソリューションは、これらの課題に対して、データ活用による商品・サービスの最適化・効率化や、新たな購買体験による需要喚起を可能にする。位置情報データに加え、決済データやECサービス利用状況などを組み合わせることで、より詳細な顧客特性と行動傾向の可視化を実現している。

KDDI Retail Data Consultingの機能まとめ

	店舗開発支援パック	売上予測支援パック	マーケティング活用パック	在庫可視化・最適化パック	品揃え最適化パック
主な機能	出店候補地の評価付け	店舗単位での売上予測	データドリブンな販促・マーケティング支援	在庫回転率の可視化と改善支援	店舗単位での商品棚最適化
使用データ	属性/位置情報/興味関心データ	POSデータ	顧客データ	在庫データ	POSデータ
主な利点	客観的な立地評価	精度の高い売上予測	効果的な販促戦略立案	在庫管理の効率化	需要に応じた品揃え最適化

WAKONXについて

WAKONXとは、KDDIが展開するAI時代の新たなビジネスプラットフォームのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

最適化したネットワークの設計・構築を提供
大規模計算基盤による企業間データの蓄積・融合・分析を実現
AIが組み込まれたサービスやソリューションを各業界に最適化して提供

WAKONXは、KDDI VISION 2030「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」の実現に向けて生まれたブランドだ。日本のデジタル化をスピードアップするというコンセプトから誕生し、法人顧客の事業成長と社会課題の解決を支援することを目指している。WAKONXを通じて、KDDIは企業のデジタル変革を総合的にサポートしていく方針である。

KDDI Retail Data Consultingに関する考察

KDDI Retail Data Consultingの提供開始は、リテール業界のデジタル変革を加速させる重要な一歩となるだろう。位置情報や興味関心データを活用した精緻な分析により、従来の勘や経験に頼った店舗開発から、データドリブンな意思決定へと移行することが可能になる。これにより、出店リスクの低減や投資効率の向上が期待でき、リテール企業の競争力強化につながるはずだ。

一方で、このようなビッグデータの活用には、プライバシー保護の観点から慎重な対応が求められる。個人情報の取り扱いに関する透明性の確保や、データの匿名化処理の徹底など、消費者の信頼を損なわないための施策が不可欠だ。また、AIによる予測の精度向上と人間の判断力とのバランスをどのように取るかも、今後の課題となるだろう。

今後、KDDI Retail Data Consultingには、さらなる機能拡充が期待される。例えば、気象データや社会イベント情報との連携による需要予測の精緻化や、AR/VR技術を活用した仮想店舗シミュレーションなどが考えられる。また、中小規模の小売業者でも導入しやすい柔軟な料金プランの設定も、サービスの普及には重要だ。KDDIには、リテール業界全体のDX推進を牽引する役割が期待されている。