三菱総合研究所が労働市場改革ロードマップを発表、職務とスキルの共通言語構築で人材流動化を促進

text: XEXEQ編集部
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PR TIMES より

記事の要約

三菱総合研究所が労働市場改革のロードマップを作成
職務とスキルの共通言語構築に向けた6つの提言を発表
人材流動化を促進し経済成長を目指す取り組み

三菱総合研究所による労働市場改革ロードマップの発表

株式会社三菱総合研究所は、政府が推進する「三位一体の労働市場改革」の実現に向けて、労働市場における職務やスキルに関する共通言語構築のためのロードマップを2024年9月4日に発表した。このロードマップでは、日本の人材流動化を促進するための具体的な6つの方策が提言されている。^[1]

背景には、日本経済がデフレからの脱却を見据え、33年ぶりの高い賃上げ水準が実現されたことがある。持続的な賃上げと経済成長のためには生産性向上が不可欠であり、そのためには人材を成長分野に振り向ける必要性が指摘されている。政府は8月末に「ジョブ型人事指針」を公表し、企業が職務に応じたスキル設定を行い、従業員が自らリスキリングを選択するジョブ型人事への移行を促している。

三菱総合研究所の提言では、内部労働市場と外部労働市場のシームレスな接続を実現するために、職務やスキルに関する共通言語の整備が不可欠だと指摘している。この「職の共通言語」の構築に向けて、行政、企業、産業団体、人材・教育事業者それぞれに向けた具体的な方策が示されており、日本の労働市場における人材流動化の促進を目指している。

三菱総合研究所の労働市場改革提言まとめ

対象	提言内容
行政	ビジョンと産官学役割分担の提示
行政	民間サービサーを通じた情報活用の促進
行政	企業のジョブ型導入後押し
企業	前提となる目的（パーパス）の明確化
企業	内に閉じない職務・スキル可視化の推進
産業団体／人材・教育事業者	人材流動化エコシステムの一員としてスキルベース共通言語の普及促進

ジョブ型人事について

ジョブ型人事とは、個々の職務に応じて必要なスキルを設定し、従業員が自ら職務やリスキリングの内容を選択していく人事制度のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

職務に応じたスキル設定と評価
従業員の自律的なキャリア選択
内部労働市場と外部労働市場の接続促進

三菱総合研究所の提言では、ジョブ型人事の導入に向けて、企業が前提となる目的（パーパス）を明確化し、内部に閉じない職務・スキルの可視化を推進することが重要だとされている。これにより、企業内外での人材の流動性が高まり、経済全体の生産性向上につながることが期待されている。

労働市場改革ロードマップに関する考察

三菱総合研究所が提示した労働市場改革ロードマップは、日本の労働市場における長年の課題に対する具体的な解決策を示している点で評価できる。特に、職務やスキルに関する共通言語の構築は、内部労働市場と外部労働市場のシームレスな接続を実現する上で重要な要素であり、人材の流動性向上に大きく寄与する可能性がある。

一方で、このような改革を進める上では、企業文化や従来の雇用慣行との軋轢が生じる可能性も懸念される。特に、年功序列や終身雇用の概念が根強く残る日本企業において、ジョブ型人事への移行は大きな変革を伴うものとなるだろう。この課題に対しては、段階的な導入や従業員への丁寧な説明、教育プログラムの充実などが解決策として考えられる。

今後は、この提言に基づいた具体的な施策の実施とその効果の検証が重要となる。特に、産官学の連携による「職の共通言語」の開発と普及、そしてそれを活用した人材マッチングシステムの構築などが期待される。労働市場改革の成功は、日本経済の持続的な成長と国際競争力の向上につながる可能性を秘めており、その進展に注目が集まるだろう。