YKK APが非木造建築用窓施工ロボット「MABOT」を開発、建設現場の生産性と安全性向上に貢献

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

YKK APが非木造建築用窓施工ロボット「MABOT」を開発
「Alignmenter01」と「Welfixer01」の2種類のロボットを導入
建設現場の安全性と生産性向上、省人化に貢献

YKK APの窓施工ロボット「MABOT」が建設現場の課題解決に貢献

YKK AP株式会社は建設業界の課題解決を目指し、業界初となる非木造建築用窓施工ロボット「MABOT」を2024年9月3日に発表した。MABOTは窓枠を設置する「Alignmenter01」と窓枠を自動溶接固定する「Welfixer01」の2種類のロボットで構成されており、建設現場における熟練技能のスキルレス化や危険有害作業に対する安全性の向上を実現している。^[1]

Alignmenter01は基準墨から設置位置を確認し、高精度な位置決め機能で窓枠をビルの躯体に設置する。これにより、計測からクサビを用いた窓枠の建て込み設置までの一連の作業を自動化し、熟練技能者の不足に対応することが可能となった。一方、Welfixer01は開口部に設置された窓枠の四周に対し、躯体に窓枠を固定する鉄製ブラケットを自動で配置し溶接固定する機能を備えている。

MABOTの導入により、溶接工程の省人化や作業員の高所作業による災害リスクの低減、有毒な溶接ヒュームを吸引する健康障害リスクの軽減が期待できる。さらに、不活性ガスにより火花を抑えることで火災リスクも低減し、建設現場の安全性が大幅に向上する。YKK APは今後も窓施工における資材運搬や品質検査、AIを用いた画像認識や自律移動機能を搭載した連携ロボットの開発を進め、建設業界の課題解決に取り組んでいく方針だ。

MABOTの主な特長まとめ

	Alignmenter01	Welfixer01
主な機能	窓枠の設置	窓枠の自動溶接固定
特徴	基準墨の自動認識、高精度な位置決め	BIMデータを基に自律移動、広い可動範囲
メリット	熟練技能のスキルレス化	省人化、安全性向上
サイズ	幅1,040mm×高さ2,020mm×奥行790mm	幅930mm×高さ1,900mm×奥行1,700mm
重量	250kg	550kg

建設DXについて

建設DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、建設業界におけるデジタル技術の活用を通じた業務プロセスの変革と価値創造を指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

IoTやAIなどの先端技術の導入による生産性向上
データ活用による意思決定の迅速化と精度向上
労働環境の改善と安全性の向上

YKK APの窓施工ロボット「MABOT」の開発は、まさに建設DXの一環として位置づけられる。MABOTは窓枠の設置や溶接作業を自動化することで、熟練技能者不足の解消や作業の安全性向上に貢献している。このような取り組みは、建設業界全体のデジタル化を推進し、労働力不足や長時間労働といった課題解決に向けた重要な一歩となっている。

MABOTに関する考察

MABOTの導入は建設現場の生産性向上と安全性確保の観点から高く評価できる。特に熟練技能者の不足に対応し、高精度な窓枠設置を自動化できる点は画期的だ。一方で、初期導入コストや既存の作業フローとの整合性、現場作業員の新技術への適応など、実際の運用面での課題が予想される。

これらの課題に対しては、段階的な導入や充実した教育プログラムの提供、現場のフィードバックを迅速に反映させる開発体制の構築が解決策として考えられる。今後は、AIによる画像認識技術の強化や他の建設ロボットとの連携機能の追加など、より高度な自動化・最適化が期待される。さらに、収集したデータを活用した予測保全や工程最適化など、建設プロセス全体の効率化につながる機能の拡張も望まれるだろう。

MABOTの開発は建設DXの一歩に過ぎず、今後はより広範囲な業務プロセスのデジタル化が進むと予想される。建設現場のIoT化やデジタルツインの活用、さらには3Dプリンティング技術の導入など、建設業界全体のパラダイムシフトにつながる可能性を秘めている。YKK APには継続的なイノベーションを通じ、建設業界の変革をリードする存在となることを期待したい。