IoT

アイオーティー

公開：2024-08-11

ISMバンドとは？意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部

ISMバンドとは

ISMバンドとは、Industrial(産業用)、Scientific(科学用)、Medical(医療用)の頭文字を取った略称で、これらの分野で使用される無線周波数帯域を指します。ISMバンドは国際電気通信連合(ITU)によって割り当てられた周波数帯域の一部です。

ISMバンドは、産業、科学、医療分野における電波利用を目的としているため、通信用途以外でも自由に利用することができます。そのため、電子レンジやBluetooth、Wi-Fiなどの身近な技術でも活用されているのです。

ISMバンドの主な周波数帯は、13.553～13.567MHz、26.957～27.283MHz、40.66～40.70MHz、2.4～2.5GHz、5.725～5.875GHzなどがあります。これらの周波数帯は、各国の法律に基づいて運用されています。

ISMバンドを利用する際は、他の無線システムへの干渉を避けるために、一定の技術基準に適合する必要があります。例えば、出力電力や占有周波数帯幅、不要輻射の強度などが規定されています。

ISMバンドは、私たちの生活に欠かせない様々な技術を支えている重要な周波数資源です。今後も、新しい技術やサービスの登場に伴い、ISMバンドの活用はさらに広がっていくことでしょう。

ISMバンドの利用例と応用範囲

ISMバンドに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

• ISMバンドを利用した身近な製品やサービス
• ISMバンドの産業分野における活用事例
• ISMバンドを用いた最新の技術動向と将来性

ISMバンドを利用した身近な製品やサービス

ISMバンドは、私たちの生活に密接に関わる様々な製品やサービスに利用されています。代表的な例が、電子レンジやBluetooth、Wi-Fiなどです。電子レンジは2.45GHz帯のISMバンドを利用して食品を加熱します。

Bluetoothは2.4GHz帯のISMバンドを使用し、スマートフォンとワイヤレスイヤホンなどの機器間で近距離無線通信を行います。Wi-Fiも2.4GHzと5GHz帯のISMバンドを活用し、家庭やオフィスでの無線LAN環境を提供しているのです。

また、コードレス電話やワイヤレスマイク、ワイヤレスキーボードなども、ISMバンドを利用した身近な製品の一部です。これらの製品は、ISMバンドの特性を生かして、利便性の高いワイヤレス環境を実現しています。

ISMバンドの産業分野における活用事例

ISMバンドは、製造業や物流業、農業など様々な産業分野でも活用されています。例えば、RFIDタグを使った在庫管理システムや、無線センサーネットワークによる環境モニタリングなどがあります。

RFIDタグは、13.56MHz帯や2.45GHz帯のISMバンドを利用し、商品の識別や追跡を効率化します。無線センサーネットワークは、ISMバンドを活用して、広範囲にわたる環境データの収集や設備の監視を行うことができます。

また、工場内の無線通信システムや、医療現場における無線機器の制御にもISMバンドが使われています。ISMバンドは、産業分野のデジタル化や自動化を支える重要な基盤技術の一つとなっているのです。

ISMバンドを用いた最新の技術動向と将来性

近年、IoTやスマートシティ、インダストリー4.0などの概念が注目される中、ISMバンドを活用した新しい技術やサービスの開発が進んでいます。例えば、低消費電力広域ネットワーク(LPWAN)の一種であるLoRaWANは、920MHz帯のISMバンドを利用しています。

LoRaWANは、広範囲をカバーしつつ、低コストで長期間動作可能なIoTネットワークを構築できます。また、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)やBluetooth 5.2など、ISMバンドを利用した無線通信技術の高度化も進められています。

今後は、5Gやエッジコンピューティングとの連携により、ISMバンドを活用したより高度なワイヤレスソリューションが登場すると予想されます。ISMバンドは、これからのデジタル社会を支える重要な周波数資源として、さらなる応用が期待されているのです。

ISMバンドの技術的特徴と規制

ISMバンドに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

• ISMバンドの電波伝搬特性と干渉対策
• ISMバンドの技術基準と各国の規制動向
• ISMバンドを利用する際の注意点とガイドライン

ISMバンドの電波伝搬特性と干渉対策

ISMバンドは、比較的低い周波数帯から高い周波数帯まで幅広く分布しているため、電波の伝搬特性も周波数によって異なります。例えば、2.4GHz帯は直進性が高く、障害物を回り込む能力が低いのに対し、920MHz帯は回折性が高く、遠方まで電波が届きやすいという特徴があります。

また、ISMバンドは免許不要で利用できる反面、他の機器からの干渉を受けやすいという課題もあります。そのため、スペクトラム拡散技術やキャリアセンス多重アクセス(CSMA)などの干渉対策技術が用いられています。

例えば、Wi-Fiではダイレクトシーケンス方式(DSSS)やオーソゴナル周波数分割多重(OFDM)といった変調方式を採用し、干渉の影響を最小限に抑えています。Bluetoothでは、アダプティブ周波数ホッピング(AFH)を使って、他の機器が使用中の周波数を避けて通信を行うようになっています。

ISMバンドの技術基準と各国の規制動向

ISMバンドを利用する際は、各国の法律や規制に基づいた技術基準を満たす必要があります。主な技術基準としては、周波数の許容偏差、占有周波数帯幅、空中線電力、不要輻射の強度などが定められています。

例えば、日本では総務省の電波法関連法令により、ISMバンドの技術基準が規定されています。米国ではFCC(連邦通信委員会)、欧州ではETSI(欧州電気通信標準化機構)が規制を担当しており、それぞれの地域で異なる技術基準が適用されます。

近年は、IoTデバイスの普及に伴い、各国でISMバンドの新たな活用方法や規制緩和の動きが見られます。例えば、日本では920MHz帯のISMバンドにおいて、低消費電力で長距離通信が可能なLPWANの利用が拡大しています。

ISMバンドを利用する際の注意点とガイドライン

ISMバンドを利用する際は、他の無線システムへの干渉を避けるために、適切な運用方法が求められます。機器の設置場所や周囲の環境を考慮し、アンテナの向きや出力電力を調整することが重要です。

また、ISMバンドを利用した製品を設計する際は、各国の技術基準に適合するだけでなく、他の無線システムとの共存を図るためのガイドラインに従うことが求められます。例えば、Wi-Fi AllianceやBluetooth SIGなどの業界団体が、互換性の確保や性能の最適化に関する指針を提供しています。

さらに、ISMバンドを利用するユーザーは、機器の適切な使用方法や設置場所について理解を深める必要があります。メーカーが提供する取扱説明書やアプリケーションノートなどを参考に、ISMバンドを有効活用することが望まれます。

ISMバンドの今後の展望と課題

ISMバンドに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

• ISMバンドの新たな活用シーンと市場動向
• ISMバンドの技術革新と標準化の方向性
• ISMバンドの発展に向けた産官学連携の取り組み

ISMバンドの新たな活用シーンと市場動向

ISMバンドは、今後も様々な分野で新たな活用シーンが生まれると予想されます。特に、IoTやスマートシティ、インダストリー4.0の進展に伴い、ISMバンドを利用したワイヤレスセンサーネットワークやLPWANの需要が高まっています。

また、ウェアラブルデバイスやスマートホーム、車載システムなどの分野でも、ISMバンドを活用した新しいアプリケーションの開発が進んでいます。市場調査会社の予測によると、ISMバンド関連の市場規模は、今後数年間で大幅な成長が見込まれているのです。

一方で、ISMバンドの利用拡大に伴い、周波数の逼迫や干渉問題への対応が課題となっています。限られた周波数資源を効率的に活用するために、新たな周波数割当てや共用技術の開発が求められています。

ISMバンドの技術革新と標準化の方向性

ISMバンドを利用した無線通信技術は、今後もさらなる高度化が進むと予想されます。例えば、Wi-Fi 6やBluetooth 5.2では、伝送速度の向上や低遅延化、省電力化などの技術革新が図られています。

また、IoTやLPWANの分野では、MIMO(Multiple Input Multiple Output)やビームフォーミング、コグニティブ無線などの先進技術の応用が期待されています。これらの技術革新により、ISMバンドの利用効率や通信品質が大幅に改善されるでしょう。

さらに、ISMバンドの活用を促進するために、国際的な標準化活動も活発化しています。IEEE(米国電気電子学会)やITU(国際電気通信連合)、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)などの標準化団体が、ISMバンドに関する新たな規格の策定を進めているのです。

ISMバンドの発展に向けた産官学連携の取り組み

ISMバンドの発展には、産業界、政府、学術機関の連携が不可欠です。各国では、ISMバンドの利活用を推進するための政策や研究開発プロジェクトが実施されています。

例えば、日本では総務省が「IoT時代における新たな電波利用システムの技術的条件」を検討し、ISMバンドの新たな活用方策を模索しています。欧州でも、Horizon 2020などの研究助成プログラムを通じて、ISMバンドに関する先端的な研究開発が行われています。

また、産学連携による実証実験やフィールドトライアルも活発化しています。企業や大学、研究機関が協力して、ISMバンドを利用した新しいシステムやサービスの実用化に取り組んでいます。こうした産官学連携の取り組みが、ISMバンドの発展を加速させていくことでしょう。

参考サイト

1. 総務省. https://www.soumu.go.jp/

※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。

「IoT」に関するコラム一覧「IoT」に関するニュース一覧