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公開：2025-01-20

ウシオ電機が光によるPFAS分解技術を開発、触媒不要で2027年度の事業化を目指す

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• ウシオ電機がPFASを光で分解・無害化する技術を開発
• 触媒や添加物不要で波長172nmの紫外線を使用
• 2027年度の事業化を目指し研究開発を推進

ウシオ電機が環境規制物質PFASの分解技術を開発

ウシオ電機は2025年1月16日、環境規制物質として注目されているPFAS（有機フッ素化合物）のうち、PFOS（ペルフルオロオクタンスルホン酸）とPFOA（ペルフルオロオクタン酸）を光により分解・無害化できる技術を開発したことを発表した。同社の真空紫外線技術を応用し、触媒や添加物を使用せずに波長172nmの紫外線を照射することで、環境負荷の高い物質を効率的に分解することが可能になった。^[1]

開発された技術は、波長172nmの紫外線を発するエキシマランプを用いて、OHラジカルと水和電子という3つの力でPFOAとPFOSを分解する仕組みを採用している。実験では、mg/L単位の高濃度のPFOAやPFOSであっても、一定時間で99%を分解できることが確認されており、従来の活性炭による吸着や高温焼却処理の課題を解決する画期的な技術として注目を集めている。

本技術は常温常圧での処理が可能で、焼燃料や触媒、化学薬品添加物を必要としない環境配慮型のソリューションとなっている。分解後に残る最終物質（HF、H+、F-）は水酸化カルシウムで処理することでフッ化カルシウムとして固定化でき、別用途への再利用も視野に入れた取り組みが進められている。

PFASの光分解技術の特徴まとめ

PFASについて

PFASとは有機フッ素化合物の総称で、その化学的安定性から工業製品に広く使用されてきた物質群のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• 化学的に極めて安定で自然界での分解が困難
• 撥水性や耐熱性に優れ工業製品に幅広く使用
• 人体への健康被害が報告され世界的に規制が強化

従来のPFAS処理では活性炭による吸着後の高温焼却が主流となっているが、処理時のエネルギー消費やCO2排出、フッ素系温暖化ガスの放出などが課題となっている。光による分解技術は、こうした環境負荷を大幅に低減できる新たな処理方法として期待が高まっている。

光分解技術による環境負荷低減に関する考察

ウシオ電機が開発した光分解技術は、従来の高温焼却処理と比較して環境負荷を大幅に低減できる可能性を秘めている。特に触媒や添加物を使用しない点は、廃棄物の削減とコスト削減の両面で大きな利点となるだろう。実用化に向けては処理能力の向上や長期安定性の検証が必要となる。

今後の課題として、実際の産業排水や汚染水での処理効率の検証や、様々な濃度・組成のPFAS混合物への対応が挙げられる。エキシマランプの長寿命化や消費電力の最適化なども重要な技術課題となるが、2027年度の事業化に向けて着実な進展が期待できる。

さらに本技術は、PFASに限らず他の難分解性環境汚染物質への応用も期待される。光技術を用いた環境浄化ソリューションの確立は、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となるだろう。

参考サイト

1. ^ ウシオ電機. 「触媒や添加物を使用せず光を用いてPFAS（有機フッ素化合物）を分解・無害化できる技術を開発」. https://www.ushio.co.jp/jp/news/1002/2025-2025/501323.html, (参照 25-01-20).

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