健康保険組合がバイオシミラー普及のモデル事業コンソーシアムを設立、医療費適正化に向けた取り組みを本格化

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

健康保険組合がバイオシミラー普及のコンソーシアムを設立
倉敷中央病院薬剤部で情報共有会を実施
約80万人のデータを用いた医療費適正化効果の分析を開始

バイオシミラー普及促進に向けた健康保険組合の新たな取り組み

ホワイトヘルスケア株式会社は2024年11月8日、複数の健康保険組合による「健康保険組合によるバイオシミラー普及のモデル事業コンソーシアム」の事務局としての活動支援を開始したことを発表した。バイオシミラーは国の後発医薬品使用目標指標に設定され、医療費適正化効果への注目が高まっている医薬品カテゴリーとなっている。^[1]

厚生労働省は第4期医療費適正化計画において、令和11年度までにバイオシミラーの数量ベースでの置き換え率を全体の60%以上にするという目標を掲げている。健康保険組合にとってバイオシミラーの普及啓発は重要な課題であり、複数の組合が結集してデータ分析や医療機関との連携を進めていくことになった。

本コンソーシアムには倉敷中央病院健康保険組合や日立健康保険組合など7つの健康保険組合が参画しており、合計約80万人分のデータを活用した分析が可能となっている。2024年8月には倉敷中央病院薬剤部での情報共有会を実施し、医療費適正化の取り組みについて意見交換を行った。

バイオシミラー普及促進事業の詳細

項目	詳細
参画組合数	7健康保険組合
対象者数	約80万人
主な取り組み	データ分析、医療機関との連携、患者向け普及啓発
目標指標	バイオシミラー数量ベース80%以上の置き換え
実施時期	2024年8月より順次開始

バイオシミラーについて

バイオシミラーとは、国内で承認された先行バイオ医薬品と同等の品質や効果を持ちながら、薬価を5〜7割程度に抑えた医薬品のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

先行バイオ医薬品と同等の品質・安全性・有効性
薬価が先行品の5〜7割程度に抑制
医療費適正化への貢献が期待

バイオ医薬品は世界の医薬品売上の3割以上を占めており、今後も市場の拡大が予想されている。バイオシミラーの普及は増加する医療費の抑制に重要な役割を果たすことが期待されており、厚生労働省も普及促進を重要テーマの一つとして位置づけている。

バイオシミラー普及促進に関する考察

健康保険組合が共同でコンソーシアムを設立したことにより、大規模なデータ分析と知見の共有が可能となった点は高く評価できる。医療費適正化に向けた取り組みは個別の組合では限界があったが、約80万人分のデータを活用することで、より効果的な施策の立案が期待できるだろう。

今後の課題として、医療機関や患者への普及啓発活動の具体的な展開方法の確立が挙げられる。特に患者向けの情報提供においては、バイオシミラーの安全性や有効性について正確な理解を促進することが重要になってくるはずだ。

医療費適正化という社会的課題に対し、保険者が積極的に関与していく姿勢は評価に値する。バイオシミラーの普及促進を通じて、医療の質を維持しながらコスト削減を実現する新たなモデルケースとなることが期待できるだろう。

参考サイト

^ PR TIMES. 「国の新目標策定で医療費適正効果が注目される“バイオシミラー”、健康保険組合も共同事業として取り組みを開始 | ホワイトヘルスケア株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000130385.html, (参照 24-11-09).
厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/index.html

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