東京理科大学が乳牛追跡用マルチカメラシステムを開発、従来比90%の高精度で個体管理を実現

text: XEXEQ編集部
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PR TIMES より

記事の要約

東京理科大学工学部情報工学科の研究グループは、マルチカメラシステムを用いた位置情報ベースの乳牛追跡手法を2024年12月4日に発表した。複数のカメラを使用して牛舎全体で乳牛を追跡する初めての試みとなり、従来の画像特徴量をベースとした手法と比較して大幅な精度向上を実現している。^[1]

開発された手法では、複数のカメラで捉えた乳牛の位置情報を統合し、牛舎内での個々の乳牛の動きを一貫して追跡することが可能になった。牛舎に設置された10台のカメラを活用し、43頭の乳牛を長時間にわたって追跡できる精度の高いシステムを構築している。

本研究では、乳牛の移動が活発な場合と制限された場合の両方で、MOTAとIDF1の精度スコアがそれぞれ約90%、80%に達する結果を得ている。従来の画像特徴量ベースの手法では10〜60%程度の精度であったことから、大幅な性能向上を達成したことになる。

MOTAとは「Multi-Object Tracking Accuracy」の略称で、複数の物体を追跡する際の精度を評価するための重要な指標である。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

マルチカメラシステムによる乳牛の追跡では、MOTAスコアが約90%に達している。これは従来の画像特徴量をベースとした手法の10〜40%と比較して大幅な向上を示しており、位置情報に基づく追跡手法の有効性を示す重要な指標となっている。

マルチカメラシステムによる乳牛の追跡技術は、酪農業界における労働力不足の解決策として大きな期待が寄せられている。特に乳牛の健康管理や異常の早期発見において、人の目に頼らない自動化システムの導入は、作業効率の向上と管理精度の向上につながるだろう。

位置情報のみを使用する本システムは、乳牛の外観的特徴や環境変化に影響されにくい利点を持つが、より詳細な健康状態の把握には課題が残されている。今後は位置情報に加えて、乳牛の行動パターンや生体情報を組み合わせた総合的な監視システムの開発が望まれるだろう。

将来的には、AIを活用した異常検知システムとの連携により、より高度な個体管理が実現可能になると考えられる。位置情報を基礎とした本システムは、そうした次世代の酪農管理システムの基盤技術として発展していく可能性を秘めている。

^ PR TIMES. 「マルチカメラシステムを用いた乳牛の一括管理手法を開発～個々の乳牛の健康管理や牛乳生産の効率化に寄与～ | 学校法人東京理科大学のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000142.000102047.html, (参照 25-01-31).

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