奈良市、生活保護業務DX化で業務効率化と市民サービス向上を実現

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約
奈良市生活保護業務DX化の取り組み
DX化取り組み詳細
AI支援サービスWAISEについて
奈良市生活保護業務DX化に関する考察
参考サイト

記事の要約

奈良市が生活保護業務のDX化を推進
資産調査や申告のオンライン化、RPA、AI導入
受給者訪問率、就労支援件数増加、時間外勤務削減

奈良市生活保護業務DX化の取り組み

奈良市は2025年5月26日、生活保護業務におけるDX化の取り組みについて発表した。これは申請から支援まであらゆるフェーズでのデジタル技術活用や業務見直しによる事務のスマート化を実現したことを示すものだ。市民サービス向上と業務効率化を目的とした積極的な取り組みである。

主な取り組みとして、資産調査のオンライン化（ピピットリンク導入）、申告等のオンライン化（LoGoフォーム活用）、RPA導入、AI支援導入（WAISE導入）の4つが挙げられる。これらの取り組みは令和3年度から令和6年度にかけて段階的に実施されたのだ。

これらのDX化によって、令和6年度には前年度比で受給者訪問率が約22.7％上昇、就労支援件数が約32.2％上昇、時間外勤務が約4.9％削減されるという成果を上げた。これは会計年度任用職員の効果的な配置と相乗効果を生み出した結果である。

DX化取り組み詳細

取り組み	開始時期	概要	成果
資産調査のオンライン化	令和6年4月	ピピットリンク導入による電子照会	照会期間短縮（2週間→最短3日）、事務作業軽減、経費削減
申告等のオンライン化	令和5年12月	LoGoフォーム活用によるオンライン申告	利用者利便性向上、申告漏れ防止、ケースワーカーの業務時間削減
RPA導入	令和3年6月	ルーチン事務の自動化	年間約697時間の事務処理時間削減、ヒューマンエラー防止
AI支援導入	令和6年4月	WAISE導入による法令・規則検索の容易化	ケースワーク事務効率化、経験の浅い職員の業務支援

奈良市プレスリリース

AI支援サービスWAISEについて

WAISEは、生活保護業務に特化したAI搭載型データベース検索エンジンだ。生活保護法令をはじめ、関連する広範な情報を集約し、ユーザーの質問を入力することで、迅速な情報検索を可能にする。

法令・規則・通知等の迅速な検索
経験の浅い職員の知識・経験不足の補完
将来的な事例・判断基準の蓄積による最適情報へのアクセス

これにより、ケースワーカーの業務効率化と、質の高いサービス提供に貢献しているのだ。

奈良市生活保護業務DX化に関する考察

奈良市の生活保護業務DX化は、業務効率化と市民サービス向上という点で大きな成功を収めていると言える。特に、AIやRPAの活用は、人手不足が課題となる社会福祉分野において、大きな効果を発揮しているだろう。しかし、システムへの依存度が高まることで、システム障害発生時の対応や、デジタルリテラシーの低い市民へのサポート体制の整備が課題となる可能性がある。

起こりうる問題への対策としては、システムの冗長化やバックアップ体制の強化、市民向けのデジタル支援窓口の設置などが考えられる。また、システムの使いやすさやアクセシビリティの向上も重要だ。将来的には、AIによる判断支援機能の高度化や、マイナンバーカードとの連携による申請手続きの簡素化なども期待できるだろう。

今後、更なる業務効率化と市民サービスの向上のためには、システムの継続的な改善と職員のデジタルリテラシー向上のための研修などが不可欠である。また、他の自治体へのDX化のノウハウ共有なども重要となるだろう。