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L2VPN(Layer 2 Virtual Private Network)とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


L2VPN(Layer 2 Virtual Private Network)とは

L2VPNはLayer 2 Virtual Private Networkの略称で、2層レベルでのVPNサービスを提供する技術です。L2VPNは、地理的に離れた拠点間をあたかも同一のネットワークに接続されているかのように通信できる仮想的なプライベートネットワークを構築します。

L2VPNでは、イーサネットフレームをそのまま異なるネットワーク間で転送することが可能です。これにより、2層レベルでの透過的な通信を実現し、拠点間でVLANの拡張やMACアドレスの一意性を維持したまま通信を行うことができます。

L2VPNを利用することで、企業は自社の持つ拠点間を仮想的に接続し、あたかも同一のLANに接続されているかのように運用できます。これにより、拠点間でのシームレスなデータ通信や、仮想マシンの移動などが容易になり、柔軟なネットワーク運用が可能になります。

L2VPNの主な実現方式としては、VPLSやVPWSなどがあります。VPLSは、複数の拠点間をマルチポイント接続し、イーサネットのブロードキャスト機能を提供します。一方、VPWSは、拠点間をポイントツーポイントで接続し、専用線のような通信を実現します。

L2VPNは、キャリアや通信事業者が提供するサービスとして利用されることが一般的です。企業は、自社のネットワークをL2VPNサービスに接続することで、専用線を敷設することなく、セキュアで柔軟な拠点間通信を実現できるのです。

L2VPNの主な利用シーン

L2VPNの主な利用シーンについて、以下3つを簡単に解説していきます。

  • L2VPNを用いた拠点間接続
  • L2VPNによるデータセンター間接続
  • L2VPNを利用した災害対策

L2VPNを用いた拠点間接続

L2VPNを利用することで、企業は地理的に離れた拠点間を仮想的に接続し、あたかも同一のネットワークに属しているかのように通信できます。これにより、拠点間でのデータ共有や、アプリケーションの利用が容易になり、業務の効率化が図れます。

例えば、本社と支社、営業所などの拠点間をL2VPNで接続することで、各拠点のユーザーは共通のファイルサーバにアクセスしたり、社内システムを利用したりすることが可能になります。拠点間の通信は、L2VPNによって暗号化され、セキュアに行われます。

また、L2VPNを利用することで、拠点間でVLANの拡張が可能になります。本社で利用しているVLANを、支社にも拡張することで、ネットワークの管理を一元化し、運用の効率化を図ることができるのです。

L2VPNによるデータセンター間接続

L2VPNは、データセンター間の接続にも広く利用されています。企業が複数のデータセンターを利用している場合、それらをL2VPNで接続することで、データセンター間の仮想マシンの移動や、ストレージの共有などが容易になります。

例えば、東京と大阪のデータセンターをL2VPNで接続することで、東京で稼働していた仮想マシンを、そのままのネットワーク設定で大阪のデータセンターに移動させることができます。これにより、災害対策やメンテナンス時の切り替えなどが容易になります。

また、L2VPNを利用することで、データセンター間でストレージの同期や、データのバックアップなども効率的に行えます。遠隔地のデータセンターに、リアルタイムでデータを複製することで、災害時のデータ損失を防ぐことができるのです。

L2VPNを利用した災害対策

L2VPNは、企業の災害対策や事業継続計画(BCP)にも活用されています。災害発生時に、主要拠点のシステムが被災した場合でも、L2VPNを利用することで、速やかに代替拠点でのシステム稼働が可能になります。

平常時から、主要拠点と代替拠点をL2VPNで接続しておくことで、災害発生時に速やかに業務を切り替えることができます。また、L2VPNを利用してデータセンター間を接続しておくことで、データの損失を最小限に抑えることも可能です。

災害発生時には、物理的なネットワークが断絶する可能性がありますが、L2VPNであれば、ネットワークの経路が冗長化されているため、通信の継続性が確保されます。これにより、事業の早期復旧や、ビジネスの継続性を確保することができるのです。

L2VPNを支える主要な技術

L2VPNを支える主要な技術について、以下3つを簡単に解説していきます。

  • L2VPNを実現するVPLS技術
  • L2VPNを支えるMPLS技術
  • L2VPNのセキュリティを強化するIPsec技術

L2VPNを実現するVPLS技術

VPLSは、Virtual Private LAN Serviceの略称で、L2VPNを実現する主要な技術の一つです。VPLSは、複数の拠点間をマルチポイントで接続し、あたかも同一のイーサネットスイッチに接続されているかのようなサービスを提供します。

VPLSでは、各拠点のカスタマーエッジ(CE)ルータが、プロバイダーエッジ(PE)ルータに接続されます。PEルータ間は、MPLSなどの技術を用いて仮想的なイーサネットスイッチが構成され、CEルータ間の通信が実現されます。

VPLSでは、イーサネットのブロードキャスト機能が提供されるため、拠点間でVLANの拡張が可能になります。また、VPLSではMACアドレスの学習機能が備わっているため、拠点間でのMACアドレスの一意性が保たれ、透過的な通信が実現されるのです。

L2VPNを支えるMPLS技術

MPLSは、Multi-Protocol Label Switchingの略称で、L2VPNを支える重要な技術の一つです。MPLSは、ネットワーク上のパケットに対して、ラベルと呼ばれる短い固定長の識別子を付与し、ラベルに基づいた高速な転送を実現します。

L2VPNでは、MPLSを利用することで、PEルータ間の仮想的なイーサネットスイッチが構成されます。各PEルータは、MPLSラベルを用いてパケットを転送し、CEルータ間の通信を実現します。

MPLSは、トラフィックエンジニアリングや、ネットワークの冗長化にも利用されます。最適な経路を選択してパケットを転送することで、ネットワークの負荷分散や、通信品質の向上が図れます。また、MPLSを利用して複数の経路を確保することで、ネットワークの冗長化も実現できます。

L2VPNのセキュリティを強化するIPsec技術

IPsecは、Internet Protocol Securityの略称で、インターネット上での通信を暗号化し、セキュアな通信を実現する技術です。L2VPNでも、IPsecを利用することで、拠点間の通信をより安全に行うことができます。

IPsecでは、通信の暗号化や、データの完全性の確保、送信元の認証などが行われます。これにより、通信の盗聴や改ざん、なりすましなどを防ぐことができます。

L2VPNでIPsecを利用する場合、CEルータ間やPEルータ間の通信を暗号化します。これにより、たとえ通信が盗聴されたとしても、内容を解読することはできません。また、IPsecでは、拠点間の通信を一括して暗号化できるため、管理が容易になるというメリットもあります。

L2VPNサービスの提供形態

L2VPNサービスの提供形態について、以下3つを簡単に解説していきます。

  • L2VPNのマネージドサービス
  • L2VPN機能を備えたネットワーク機器の利用
  • L2VPNクラウドサービスの活用

L2VPNのマネージドサービス

L2VPNのマネージドサービスは、通信事業者やキャリアが提供するサービスで、企業はネットワークの構築や運用を事業者に委託できます。事業者が、ネットワークの設計や機器の設定、保守運用などを行うため、企業は自社でネットワークを構築する必要がありません。

マネージドサービスでは、事業者が品質保証や、障害対応なども行います。そのため、企業は安心してL2VPNサービスを利用することができます。また、事業者が提供する管理ポータルを通じて、ネットワークの状況を把握したり、設定変更を行ったりすることも可能です。

L2VPNのマネージドサービスは、初期投資を抑えつつ、高品質なL2VPNサービスを利用したい企業に適しています。ネットワークの運用に関する専門知識やノウハウが不要なため、ITリソースが限られた企業でも容易に導入できるというメリットがあります。

L2VPN機能を備えたネットワーク機器の利用

L2VPN機能を備えたネットワーク機器を利用することで、企業は自社でL2VPNを構築することができます。近年は、L2VPN機能を標準で備えたルータやスイッチが多数販売されており、企業が自社でL2VPNを構築することが容易になっています。

自社でL2VPNを構築する場合、ネットワークの設計や機器の設定、運用などは全て自社で行う必要があります。そのため、ネットワークに関する専門知識やノウハウが必要になります。

しかし、自社でL2VPNを構築することで、きめ細かなネットワーク設計が可能になります。例えば、帯域の設定や、QoSの設定など、自社の要件に合わせたきめ細かな設定が行えます。また、将来的なネットワークの拡張や変更にも柔軟に対応できるというメリットがあります。

L2VPNクラウドサービスの活用

近年は、クラウド上でL2VPNサービスを提供するクラウドサービスも登場しています。AWSAzureGoogle Cloudなどの主要なクラウドサービスでは、L2VPNサービスが提供されており、企業はクラウド上でL2VPNを構築できます。

クラウド上のL2VPNサービスでは、クラウドサービス事業者がネットワークの構築や運用を行うため、企業は自社でネットワークを構築する必要がありません。また、クラウドサービスの管理コンソールを通じて、ネットワークの設定や監視を行うことができます。

クラウド上のL2VPNサービスは、クラウドサービスを利用している企業に適しています。クラウド上の仮想マシンやサービスと、オンプレミスの拠点を、シームレスに接続することができます。また、クラウドサービスの柔軟性や拡張性を活かして、ネットワークを簡単に拡張することも可能です。

参考サイト

  1. Google. https://blog.google/intl/ja-jp/

※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。

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