【CVE-2024-57802】Linuxカーネルのnetromモジュールにバッファ長チェック不備、未初期化値読み取りの脆弱性が発覚
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記事の要約
- Linuxカーネルのnetromにバッファ長チェック不備を発見
- CVE-2024-57802として脆弱性を識別し対応を実施
- ieee802154実装でのax25cmpの未初期化値読み取りを修正
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Linuxカーネルのnetromモジュールにバッファ長チェック不備の脆弱性
kernel.orgは2025年1月15日、Linuxカーネルのnetromモジュールにおいてバッファ長のチェックが不十分である脆弱性を公開した。この脆弱性はCVE-2024-57802として識別され、ieee802154実装を介してraw messageを送信する際にax25cmpで未初期化値が読み取られる問題が報告されている。[1]
問題の根本的な原因は、skbバッファのサイズが小さすぎる状態で実際の割り当てが整列されることにより、nr_route_frameがバッファサイズを検証せずにデータにアクセスしてしまう点にある。この脆弱性はLinux Verification Centerのsyzkallerによって発見され、バッファ長を適切にチェックする修正が行われた。
この脆弱性の影響を受けるバージョンは広範囲に及び、Linux 2.6.12から最新版まで複数のバージョンで対応が必要となっている。修正パッチは各バージョン向けに提供され、skb->lenのチェックを実装することでskb->dataフィールドへの安全なアクセスを確保する対策が講じられた。
Linuxカーネルの脆弱性対応状況
項目 | 詳細 |
---|---|
CVE番号 | CVE-2024-57802 |
公開日 | 2025年1月15日 |
更新日 | 2025年1月20日 |
影響を受けるバージョン | Linux 2.6.12以降の複数バージョン |
対象コンポーネント | netromモジュール、ieee802154実装 |
発見者 | Linux Verification Center (linuxtesting.org) |
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バッファオーバーフローについて
バッファオーバーフローとは、プログラムがメモリ上に確保されたバッファの境界を越えてデータの読み書きを行ってしまう脆弱性のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- メモリ破壊やシステムクラッシュの原因となる重大な脆弱性
- 未初期化メモリへのアクセスによる情報漏洩のリスク
- 攻撃者による任意のコード実行の可能性
本事例では、netromモジュールがバッファ長を適切にチェックせずにアクセスすることで、未初期化値の読み取りが可能な状態となっていた。このような脆弱性は、カーネル空間で発生した場合、システム全体に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、早急な対応が必要となる。
Linuxカーネルのnetromモジュール脆弱性に関する考察
今回の脆弱性対応では、バッファ長のチェック機構を追加することで根本的な問題解決が図られており、セキュリティ面での改善が期待できる。しかしながら、多くのバージョンに影響が及ぶことから、各環境でのアップデート適用には慎重な検証プロセスが必要となるだろう。
今後の課題として、同様の脆弱性を未然に防ぐためのコード品質向上が挙げられる。特にメモリ管理に関する厳格なチェック機構の実装や、静的解析ツールの活用による早期発見の仕組みづくりが重要となる。syzkallerのような自動化されたテストツールの活用は、継続的なセキュリティ品質の向上に貢献するだろう。
将来的には、メモリ安全性を担保する新しいプログラミング言語やツールの採用も検討に値する。特にRustのようなメモリ安全性を重視した言語の活用は、同様の問題の再発防止に効果的な選択肢となり得る。カーネル開発におけるセキュリティとパフォーマンスのバランスを保ちながら、より堅牢なシステム構築を目指す必要がある。
参考サイト
- ^ CVE. 「CVE-2024-57802 | CVE」. https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2024-57802, (参照 25-01-23).
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