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公開：2025-01-25

JAXAとNECが世界最速の光衛星間通信に成功、通信速度1.8Gbpsで観測データの即時伝送を実現

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• JAXAとNECが世界最速の光衛星間通信に成功
• 光データ中継衛星経由で観測データを地上局へ初伝送
• 通信速度1.8Gbpsの大容量データ伝送を実現

JAXAとNECの光衛星間通信システムLUCASによる世界最速データ伝送の成功

JAXAとNECは、先進レーダ衛星「だいち4号」と約40,000km離れた静止軌道の光データ中継衛星との間で、光衛星間通信システムLUCASによる世界最速の光通信に2025年1月23日成功した。光通信では通信光波長1.5μm帯を使用し、通信速度1.8Gbpsを実現して静止衛星経由で観測データを地上局へ初めて伝送することに成功している。^[1]

JAXAとNECは2024年10月より、地球観測衛星用の光ターミナルOLLCTを搭載した「だいち4号」と、静止衛星用の光ターミナルOGLCTを搭載した光データ中継衛星との間で光衛星間通信を確立し技術実証を継続してきた。北極からヨーロッパ、アフリカ大陸を縦断するように30分間にわたり観測した大容量のミッションデータを一度の通信で取得することに成功している。

光通信技術は1990年代からJAXAとNECが共同で研究開発を進めており、令和5年度に策定された政府の宇宙技術戦略でも戦略的重要技術として位置づけられている。LUCASは前世代の電波を用いたデータ中継技術衛星「こだま」の伝送速度240Mbpsと比べて7.5倍の1.8Gbpsを実現し、地球観測データの大容量高速伝送を可能にした。

光衛星間通信システムLUCASの特徴まとめ

光衛星間通信システムについて

光衛星間通信システムとは、地球観測衛星と静止衛星間でレーザ光を用いてデータ伝送を行う先進的な通信システムのことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• 電波と比べて桁違いに広い帯域を持ち、大容量データ伝送が可能
• 非常に絞ったビームを使用するため、干渉や傍受の恐れが少ない
• 高精度な光学系と制御技術による長距離通信を実現

JAXAとNECが開発したLUCASシステムでは、高出力光増幅技術とレーザ光を相手衛星へ指向させる捕捉追尾技術を駆使している。地上の光ファイバ通信システムで実績のある1.5μm帯を採用することで、将来的な地上システムとの連携も視野に入れた開発が行われた。

光衛星間通信システムLUCASに関する考察

光衛星間通信システムLUCASの成功は、宇宙空間における大容量データ通信の新時代を切り開く画期的な成果といえる。特に従来の電波通信と比べて7.5倍の高速化を実現したことは、地球観測データの即時的な取得と活用の可能性を大きく広げるものだ。

今後の課題として、光通信システムの長期安定性や気象条件による影響の検証が重要になってくるだろう。しかし、JAXAとNECの30年以上に及ぶ研究開発の蓄積と、政府の宇宙技術戦略における重要技術としての位置づけにより、さらなる技術革新と実用化が期待できる。

将来的には、地上の光ファイバ通信システムとの連携による、シームレスな宇宙地上統合通信網の構築が視野に入ってくる。特に船舶自動識別システムSPAISE3のような観測データの即時伝送は、地球規模の監視システムや災害対策などへの応用も期待できるだろう。

参考サイト

1. ^ JAXA. 「JAXA | 1.5μm衛星間光通信を使った超大容量ミッションデータ伝送に世界で初めて成功」. https://www.jaxa.jp/press/2025/01/20250123-1_j.html, (参照 25-01-25).
2. NEC. https://jpn.nec.com/

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