オーバーライドとは？意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部

オーバーライドとは

オーバーライドとは、プログラミングにおいて親クラスで定義されたメソッドを子クラスで再定義する機能です。継承関係にあるクラス間で同名のメソッドを持たせることによって、子クラス独自の処理を実装できます。オブジェクト指向プログラミングの重要な概念であり、ソフトウェア開発の柔軟性を高める手段となっています。

オーバーライドを使用することによって、既存のコードを変更せずに機能を拡張したり、特殊なケースに対応したりすることが可能になります。たとえば「動物」という親クラスの「鳴く」というメソッドを、「犬」という子クラスで「ワンワン」と鳴くように再定義するといった実装ができるでしょう。このように同じインターフェースを保ちながら、振る舞いだけを変更できる点がオーバーライドの大きな利点です。

多くのプログラミング言語ではオーバーライドを明示するための専用のキーワードやアノテーションが用意されています。JavaではOverrideアノテーション、C#ではoverrideキーワードを使用して、意図的にメソッドをオーバーライドしていることを明示できます。こうした明示的な宣言は、コードの可読性を高めるだけではなく、誤って親クラスのメソッドを上書きしてしまうようなバグの防止にも役立ちます。

オーバーライドの活用シーン（プログラミング応用）

「オーバーライドの活用シーン（プログラミング応用）」に関して、以下を解説していきます。

フレームワークでのオーバーライド実装例
オーバーライドとオーバーロードの違い

フレームワークでのオーバーライド実装例

フレームワークでのオーバーライド実装例は、実際の開発現場で頻繁に活用される重要な技術です。多くのフレームワークはベースとなるクラスやメソッドを提供し、開発者はそれらをオーバーライドすることによって独自の機能を実装することができます。たとえばJavaのSpringフレームワークでは、コントローラークラスの標準メソッドをオーバーライドすることによって、独自のルーティングやリクエスト処理を実装することが可能となっています。

Webアプリケーション開発において、ユーザー認証やデータバリデーションなどの共通処理をフレームワークが提供し、それを特定の業務要件に合わせてカスタマイズする場合にオーバーライドが効果的です。フレームワークの基本機能を継承しながら必要な部分だけを変更できるため、開発効率が大幅に向上するでしょう。このようなアプローチによって、コードの再利用性が高まり、保守性も向上することが期待できます。

	Android	iOS (Swift)	React	Angular
ライフサイクルメソッド	onCreate	viewDidLoad	componentDidMount	ngOnInit
イベント処理	onTouchEvent	touchesBegan	handleClick	ngOnChanges
画面描画	onDraw	draw	render	ngAfterViewInit
状態変更	onSaveInstanceState	didSetState	shouldComponentUpdate	ngDoCheck
破棄処理	onDestroy	deinit	componentWillUnmount	ngOnDestroy

オーバーライドとオーバーロードの違い

オーバーライドとオーバーロードの違いは、プログラミング初学者が混同しやすい概念ですが、両者は全く異なる機能を持っています。オーバーライドは継承関係にあるクラス間で、同じシグネチャ（メソッド名、引数の型と数）を持つメソッドを子クラスで再定義する機能です。一方でオーバーロードは、同一クラス内で同じメソッド名を持ちながら、引数の型や数が異なるメソッドを複数定義する機能となっています。

オーバーライドはポリモーフィズム（多態性）を実現するための重要な手段であり、同じインターフェースに対して異なる実装を提供することができます。オーバーロードは同じ名前の操作に対して異なる引数パターンを提供することによって、API設計の一貫性と使いやすさを向上させることができるでしょう。このように両者はオブジェクト指向プログラミングにおいて異なる目的を持ち、適切に使い分けることがクリーンなコード設計につながります。

	オーバーライド	オーバーロード	デフォルトメソッド
定義場所	子クラス	同一クラス内	インターフェース
メソッド名	同一	同一	同一
引数	同一	異なる	同一
戻り値	同一または共変	任意	同一
目的	振る舞いの変更	機能の拡張	互換性の維持
実行時決定	動的	静的	優先度に従う