横浜銀行が生成AIを活用した融資稟議書作成の実証実験を実施、年間19,500時間の業務効率化を実現

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

横浜銀行が生成AIを活用した融資審査業務の実証実験を実施
融資稟議書作成の効率化で年間19,500時間の削減効果
審査スキル向上と業務効率化の両立を実現

横浜銀行の融資審査業務における生成AI活用の実証実験

横浜銀行は日本IBMと協力し、融資審査業務における稟議書作成に生成AIを活用する実証実験を2024年11月7日に公開した。この実験では融資稟議書作成支援AIのプロトタイプを作成し、行員の稟議作成にかかる時間の効率化を図ることで最大で年間19,500時間の業務効率化が見込まれることが明らかになっている。^[1]

横浜銀行はお客さまの多様化・高度化する経営課題に対応するため、行員一人ひとりが付加価値の高い金融サービスを提供する「ソリューション・カンパニー」の実現を目指している。日々の営業活動において顧客ニーズをより深く理解することが求められており、融資審査業務での行員のヒアリング力や提案力の底上げが必要不可欠となっているのだ。

実証実験では6週間にわたり、日本IBMのアセットを活用した融資稟議書作成支援AIが作成した稟議書をもとに、審査項目の網羅率や文章品質、業務時間削減効果を検証した。与信判断に必要な審査項目について、お客さまへのヒアリングが不足している点を明確にできる効果も確認されており、行員の審査スキル向上にも寄与することが期待されている。

融資稟議書作成支援AIの実証実験まとめ

項目	詳細
実験目的	生成AIによる生成内容の品質・業務効率化の検証
実施期間	6週間
効率化効果	年間19,500時間（行員1人あたり月間約8時間）
主な効果	稟議作成時間の短縮、審査項目の網羅性向上
期待される効果	行員の審査スキル向上、ヒアリング力の強化

実証実験の詳細についてはこちら

融資稟議書について

融資稟議書とは、金融機関が融資の可否を判断するために作成する重要な内部文書のことであり、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

融資先の事業内容や財務状況を詳細に分析
与信判断に必要な審査項目を網羅的に記載
融資条件や返済計画などの具体的な提案を含む

横浜銀行の実証実験では、生成AIを活用することで融資稟議書作成の効率化と品質向上を同時に実現することが可能となった。特に審査項目の網羅性向上や不足情報の明確化により、より質の高い融資審査業務を行うことができるようになっている。

生成AIを活用した融資審査業務に関する考察

生成AIによる融資稟議書作成支援は、行員の業務効率化だけでなく審査スキルの向上という二つの課題を同時に解決できる可能性を秘めている。特に若手行員にとって、生成AIが提示する審査項目は実践的な学習機会となり、ヒアリングスキルの向上に大きく寄与することが期待できるだろう。

一方で、生成AIの判断が過度に信頼されることで、行員本来の審査能力が低下するリスクも懸念される。融資審査における最終的な判断は人間が行うべきであり、生成AIはあくまでも支援ツールとして位置づけられるべきである。

今後は生成AI活用の範囲を融資業務全般に広げることで、より包括的な業務改善が実現できる可能性がある。特に顧客とのコミュニケーションや提案書作成など、付加価値の高い業務により多くの時間を割くことができるようになれば、金融機関としてのサービス品質向上にもつながるだろう。

参考サイト

^ PR TIMES. 「横浜銀行の「生成ＡＩを活用した融資審査業務における稟議書作成」の実証実験の実施について | 日本アイ・ビー・エム株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000560.000046783.html, (参照 24-11-08).
IBM. https://www.ibm.com/jp-ja

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