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公開：2024-12-16

広島大学発スタートアップのマテリアルゲートがNEDO GX事業に採択、単分子誘電体メモリの実用化研究を加速

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• マテリアルゲートがNEDO DTSU/GX事業のSTSフェーズに採択
• 単分子誘電体の生産体制構築とメモリチップ開発を実施
• 最大約2.8億円の助成金を獲得し実用化研究を推進

単分子誘電体メモリの開発に向けたNEDO採択

広島大学発のスタートアップ企業マテリアルゲートは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のGX分野のディープテック・スタートアップ支援事業において、STSフェーズに採択された。広島大学の西原禎文教授が世界で初めて開発した単分子誘電体技術により、従来のメモリと比べて約1000倍の高密度化と約90%の消費電力削減を実現する可能性が期待されている。^[1]

単分子誘電体メモリは従来の物理理論を覆す新しい機構により、本来強誘電性が出現しないとされていた単一分子で強誘電体特有の自発分極とメモリ効果を発現することが可能だ。この革新的な技術により、次世代メモリデバイスの実現に向けた大きな一歩となるだろう。

マテリアルゲートは2023年6月に設立され、広島大学インキュベーションオフィスを拠点に単分子誘電体の製造・販売および関連デバイスの開発を進めている。今回のNEDO採択により、量産に向けた初期プロセスの構築とメモリデバイスの実用化に向けた要素技術の研究開発が加速されることになった。

NEDO GX事業の支援内容

マテリアルゲートの詳細はこちら

強誘電体について

強誘電体とは、電場がない状態でも分極が整列しており、電場によって分極の方向を反転させることができる物質のことを指す。以下のような特徴を持っている。

• 自発分極による永続的な電気分極の保持
• 電場印加による分極方向の制御が可能
• 情報記録材料として応用可能な双安定性

広島大学が開発した単分子誘電体技術は、従来の強誘電体材料では実現できなかった単一分子レベルでの強誘電性を実現した革新的な成果だ。この技術により、従来比約1000倍の高密度化と約90%の消費電力削減という画期的な性能向上が期待されている。

単分子誘電体メモリの開発に関する考察

単分子誘電体メモリの実用化は、現代のデジタル社会が直面しているエネルギー効率とデータストレージの課題を同時に解決する可能性を秘めている。特に約90%もの消費電力削減効果は、データセンターの電力消費問題やモバイルデバイスのバッテリー持続時間の改善に大きく貢献する可能性があるだろう。

一方で、新規材料の量産化においては製造プロセスの確立や品質の安定化、コスト競争力の確保など、多くの技術的・経済的課題が存在している。特に従来の半導体製造ラインとの互換性や、既存のメモリ製品との性能比較における優位性の実証が重要になってくるだろう。

NEDOによる支援を受けた研究開発の成果は、日本の半導体産業の競争力強化にもつながる可能性を持っている。今後は大手半導体メーカーとの協業や知的財産戦略の確立など、事業化に向けた取り組みがより一層重要になってくるはずだ。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「マテリアルゲート、NEDO DTSU/GX事業（STSフェーズ）に採択 | 株式会社マテリアルゲートのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000144981.html, (参照 24-12-16).

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