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公開：2025-04-16

ElevationSpaceと豊田自動織機が大気圏再突入システム用耐熱材料の共同開発を開始、宇宙輸送の新時代へ前進

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• ElevationSpaceと豊田自動織機が大気圏再突入システム用耐熱材料の共同開発を開始
• 豊田自動織機の3次元織物技術を活用し軽量かつ低損耗な耐熱材料を開発
• 2026年後半にELS-Rシリーズ初号機「あおば」の打ち上げを予定

宇宙ビジネスの新展開を加速する耐熱材料の共同開発

株式会社ElevationSpaceと株式会社豊田自動織機は、宇宙空間から地球への大気圏再突入システムに使用する耐熱材料の共同開発を2025年4月16日に開始した。ElevationSpaceは日本初となる宇宙空間での研究開発物資を地球に持ち帰るための大気圏再突入・回収技術に挑む民間企業であり、豊田自動織機の持つ炭素繊維の3次元織物技術を活用することで、高温環境に耐えられる革新的な耐熱材料の開発を目指している。^[1]

大気圏再突入時における突入機への熱負荷は各部位で異なるものの、現在の熱防護技術では最大熱負荷に合わせた部材を全体に装着する必要があり、過剰設計による重量増が課題となっていた。豊田自動織機の3次元織物技術は、各部位の熱負荷に応じて最適な密度で織ることが可能であり、軽量化とロケット打ち上げコストの低減に大きく貢献することが期待されている。

ElevationSpaceは2026年後半に宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R」シリーズの初号機「あおば」の打ち上げを予定している。国際宇宙ステーション（ISS）の運用が2030年末に終了することを見据え、「ELS-R」を通じて無人の小型衛星による実験や実証を行い、研究成果を地球に持ち帰るサービスを展開していく方針だ。

大気圏再突入システムの技術概要

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3次元織物技術について

3次元織物技術とは、経糸、緯糸、厚み方向の3方向に繊維を配置した立体構造を持つ織物を製造する技術のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• 設計の自由度が高く、部位ごとに必要な強度や性能を付与可能
• 航空宇宙分野や自動車分野での軽量化と高強度化に貢献
• 複雑な形状や特殊な性能要件に対応可能な織物構造を実現

豊田自動織機は祖業の繊維機械事業で培った織機・紡機技術を基盤に、この3次元織物技術を発展させてきた。大気圏再突入システムにおいては、各部位の熱負荷に応じた最適な密度設計により、従来の熱防護システムが抱える重量増の課題を解決することが期待されている。

大気圏再突入システムの耐熱材料開発に関する考察

ElevationSpaceと豊田自動織機による大気圏再突入システム用耐熱材料の共同開発は、民間宇宙ビジネスの新たな可能性を切り開く重要な取り組みとなっている。特に豊田自動織機の3次元織物技術を活用することで、従来の熱防護システムが抱えていた重量とコストの課題を解決し、より効率的な宇宙輸送システムの実現が期待できる。

しかし、開発においては高温環境下での材料の耐久性や信頼性の検証が重要な課題となるだろう。特に実際の大気圏再突入時の環境を地上で完全に再現することは困難であり、シミュレーションと実験データの組み合わせによる綿密な検証が必要となることが予想される。開発チームには、航空宇宙分野での実績と材料工学の専門知識を組み合わせた総合的なアプローチが求められている。

将来的には、この技術を活用した宇宙輸送サービスの展開が期待される。特にISS運用終了後の宇宙環境利用の新たな選択肢として、ELS-Rシリーズによる実験・実証プラットフォームの提供は重要な意味を持つ。民間企業による宇宙開発の新時代を切り開く重要な一歩として、本開発プロジェクトの進展に注目が集まるだろう。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「ElevationSpaceと豊田自動織機、大気圏再突入システム用耐熱材料の共同開発を開始 | 株式会社ElevationSpaceのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000074085.html, (参照 25-04-16).
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