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公開：2025-04-23

研究チームが嗅覚VRゲームで高齢者の認知機能改善を実現、世界初の取り組みで認知症予防に期待

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• 嗅覚VRゲームによる高齢者の認知機能改善手法を世界初提案
• 嗅覚ディスプレイを用いたVRゲームで香りを記憶・識別
• 認知テストのスコアが向上し認知症予防への効果に期待

研究チームが嗅覚VRゲームで認知機能改善を実現

東京科学大学の中本高道教授を中心とする研究チームは、嗅覚VRを用いて高齢者の認知機能を改善する手法を2024年3月28日に発表した。この研究では工学、心理学、芸術分野の研究者が協力し、VR空間内で香りを記憶して識別するゲームを開発することで、従来の直接提示方式では得られなかった高い没入感と効果を実現している。^[1]

研究チームが開発した嗅覚VRゲームでは、嗅覚ディスプレイを通じて香りを発生させ、ユーザーは最初に提示された香りを記憶した後、異なる3か所の香りの発生源から同じものを特定するという課題に取り組むことになる。63歳から90歳までの高齢者30名を対象とした実験では、ゲーム体験の前後で実施した認知テストのスコアが有意に向上したことが確認された。

本研究の成果は、高齢者の認知機能のリハビリテーションにおける新しいアプローチとして注目を集めている。特に視空間処理に関連する認知・記憶機能の改善が見られ、認知症をはじめとする神経変性疾患の予防に効果的な手法として期待が高まっている。

嗅覚VRゲームによる認知機能改善の実験結果まとめ

嗅覚VRについて

嗅覚VRとは、バーチャルリアリティ空間内で香りを提示する技術のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• 映像と連動した香りの提示が可能で高い没入感を実現
• 嗅覚ディスプレイを用いて香りの種類や強さを制御
• 実世界の香り体験を疑似的に再現可能

研究で使用された嗅覚VRシステムは、従来の直接的な香り提示方法と比較して、より効果的な認知機能の改善を実現している。VR空間内での香りの発生と移動という要素を組み合わせることで、視覚的な空間認知と嗅覚記憶を同時に刺激し、より効果的な認知機能のトレーニングを可能にしている。

高齢者向け嗅覚VRゲームに関する考察

嗅覚VRゲームによる認知機能改善手法は、従来のリハビリテーション方法に新たな可能性をもたらしている。高齢者が楽しみながら継続的に取り組めるという点で、従来の単調な認知機能トレーニングと比較して高いアドヒアランスが期待できるほか、没入感のある体験を通じて効果的な認知機能の維持向上が可能になるだろう。

今後の課題として、効果の持続期間や継続的な使用による影響の検証が必要不可欠である。また、視覚刺激と嗅覚刺激それぞれの寄与度を明確にすることで、より効果的なトレーニングプログラムの開発につながる可能性があるため、さらなる研究の進展が望まれる。

将来的には、個人の認知機能レベルや好みに応じてカスタマイズ可能なプログラムの開発が期待される。認知症予防や高齢者のQOL向上に向けて、嗅覚VRゲームがデジタルヘルスケアの新たな選択肢として確立されることが望ましい。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「嗅覚VRゲームを用いた高齢者認知機能の改善 | 文京学院大学のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000378.000035644.html, (参照 25-04-23).
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