千葉大学が環境調和型ハロイミド化触媒を開発、医薬品や農薬の環境負荷低減に期待
PR TIMES より
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記事の要約
- 千葉大学が新しいハロゲン化反応触媒を開発
- 廃棄物を出さずにハロゲンと窒素を導入可能に
- 医薬品や農薬開発への応用に期待
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千葉大学が開発したハロイミド化反応触媒の特徴
千葉大学大学院理学研究院の荒井孝義教授らの研究チームは、N-ハロゲン化スクシンイミドを用いてハロゲン化と窒素導入を同時に行う触媒の開発に成功し、2024年12月3日にOrganic Letters誌で公開した。開発された触媒は、ベンジリデンマロノニトリルとN-ハロゲン化スクシンイミドの反応において、独自開発したビス(イミダゾリジン)ピリジン配位子-銅触媒を活用している。[1]
研究チームはアントラセン環を配位子のイミダゾリジン環窒素上に導入することで、極めて高い立体選択性で光学活性なハロイミド化合物の合成を実現した。この反応は塩素と窒素を同時に導入するクロロイミド化、臭素と窒素を同時に導入するブロモイミド化の双方に適用することが可能となっている。
従来の手法では特殊なハロゲン化試薬をアルケン基質に作用させる際に廃棄物が生じる問題があったが、新開発の触媒反応ではスクシンイミドが生成物に取り込まれることで廃棄物を生じない環境調和型の反応が実現した。X線結晶構造解析によりアントラセン環が銅を含む平面的な配位構造に垂直に噛んだGearing Effectを発見している。
ハロイミド化反応触媒の特徴まとめ
項目 | 詳細 |
---|---|
開発機関 | 千葉大学大学院理学研究院 |
発表日 | 2024年12月3日 |
主要技術 | ビス(イミダゾリジン)ピリジン配位子-銅触媒 |
反応特性 | クロロイミド化とブロモイミド化の両方に対応 |
環境性能 | 廃棄物を生じない環境調和型反応 |
期待される用途 | 医薬品・農薬・機能性分子の開発 |
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イミド化について
イミド化とは、2つの炭素-酸素二重結合に挟まれた窒素化合物を生成する化学反応のことを指す。以下のような特徴が挙げられる。
- カルボニル基に挟まれた窒素化合物を形成
- 窒素上で反応が進行し生成物に取り込まれる
- 医薬品や機能性材料の合成に重要な反応
本研究で開発された触媒反応では、N-ハロゲン化スクシンイミドから生じるスクシンイミドが生成物に取り込まれることで廃棄物を生じない反応を実現した。アントラセン環を導入した配位子の設計により、高い立体選択性でイミド化合物の合成が可能となっている。
環境調和型触媒反応に関する考察
本研究で開発された触媒反応は、医薬品や農薬の開発における環境負荷低減に大きな可能性を秘めている。特にハロゲン化と窒素導入を同時に行える点は、反応工程の簡略化にもつながり、製造プロセス全体の効率化に貢献することが期待できるだろう。
今後の課題として、触媒の大量合成における品質管理や工業スケールでの反応条件の最適化が挙げられる。特にアントラセン環を有する配位子の合成コストや、反応の再現性を担保するための条件設定が重要になってくるだろう。
将来的には本触媒技術を基盤として、さらに多様な基質への適用や新しい不斉反応の開発が期待される。医農薬開発における環境負荷低減と高効率合成の両立は、持続可能な化学産業の実現に向けた重要な一歩となるはずだ。
参考サイト
- ^ PR TIMES. 「廃棄物を生じずにハロゲンと窒素を導入 高付加価値化合物の環境調和型開発に期待 | 国立大学法人千葉大学のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000929.000015177.html, (参照 24-12-27).
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