セキュリティ

SECURITY

公開：2025-02-07

【CVE-2025-21675】LinuxカーネルのMLX5ドライバーに重大な脆弱性、LAG機能のクラッシュ問題に対処

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• LinuxカーネルでMLX5ドライバーの重大な脆弱性を修正
• ポート選択構造体のクリア処理に関する不具合を改善
• カーネルクラッシュを引き起こす二重破棄の問題に対処

Linuxカーネルにおけるネットワークドライバーの脆弱性修正

Linuxカーネルの開発チームは2025年1月31日、MLX5ネットワークドライバーにおける重大な脆弱性の修正を実施した。この問題はポート選択構造体のクリア処理が適切に行われないことで発生し、LAGデファイナーの二重破棄によってカーネルクラッシュを引き起こす可能性があった。^[1]

脆弱性の主な原因は、mlx5_lag_port_sel_create関数内でのエラー処理における不備にあり、デファイナーの作成失敗時にポート選択構造体が適切にクリアされないことで発生していた。この問題により、mlx5_lag_destroy_definers関数が同一のデファイナーを複数回破棄しようとし、カーネルのNULLポインタ参照を引き起こしていた。

この脆弱性はLinuxカーネルバージョン5.16以降に影響を与えており、6.1.127、6.6.74、6.12.11以降のバージョンで修正された。修正パッチは既存のポート選択構造体をエラー発生時に適切にクリアすることで、デファイナーの二重破棄問題を防止する実装となっている。

LinuxカーネルのMLX5脆弱性の詳細

NULLポインタ参照について

NULLポインタ参照とは、プログラムが無効なメモリアドレスにアクセスしようとする際に発生する深刻なプログラミングエラーのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• メモリアドレス0や未初期化のポインタへのアクセスによって発生
• システムクラッシュやメモリ破壊を引き起こす可能性がある
• 適切なエラー処理とメモリ管理によって防止可能

Linuxカーネルの文脈では、NULLポインタ参照は特に深刻な問題となり、システム全体の安定性に影響を与える可能性がある。カーネルモジュールやドライバーにおけるNULLポインタ参照は、システムクラッシュやデータ損失を引き起こす可能性があるため、早急な対応が必要となることが多い。

MLX5ドライバーの脆弱性修正に関する考察

今回のMLX5ドライバーの脆弱性修正は、Linuxカーネルのネットワークスタックの信頼性向上という観点で重要な意味を持っている。特にLAG（Link Aggregation）機能は大規模ネットワーク環境で広く使用されており、この脆弱性の修正によってシステムの安定性が大きく向上することが期待される。しかし、同様の問題が他のドライバーコンポーネントにも潜在している可能性は否定できないだろう。

今後は同様の問題を予防するため、ドライバー開発におけるエラー処理とリソース管理のベストプラクティスの確立が求められる。特にメモリ管理とオブジェクトのライフサイクル制御については、より厳密なコードレビューとテストが必要になってくるだろう。デバイスドライバーの品質向上に向けた取り組みは、Linuxカーネルの信頼性向上に大きく貢献するはずだ。

また、セキュリティ研究者とカーネル開発者のコラボレーションをより強化することで、脆弱性の早期発見と修正が可能になると考えられる。カーネルセキュリティの継続的な改善には、オープンソースコミュニティ全体での取り組みが不可欠だ。今後も同様の脆弱性報告と修正のサイクルを維持していく必要があるだろう。

参考サイト

1. ^ CVE. 「CVE: Common Vulnerabilities and Exposures」. https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2025-21675, (参照 25-02-07).

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