セキュリティ

SECURITY

公開：2024-12-22

【CVE-2024-47598】GStreamerにバッファ境界外読み取りの脆弱性、バージョン1.24.10で修正完了

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• GStreamerにqtdemux_merge_sample_table関数の脆弱性
• バッファ境界を超えた4バイトの読み取りが可能に
• バージョン1.24.10で修正済みのアップデートを実施

GStreamerライブラリのqtdemux_merge_sample_tableに境界外読み取りの脆弱性

GitHubのセキュリティアドバイザリーは2024年12月11日、マルチメディアフレームワークGStreamerにおいて境界外読み取りの脆弱性【CVE-2024-47598】を発見したことを公開した。qtdemux.cファイル内のqtdemux_merge_sample_table関数で、sttsバッファのサイズ確認が適切に行われていないことにより、stts_durationの読み取り時にstts->dataの境界を超えて4バイトまでの読み取りが可能になっている。^[1]

GStreamerチームはこの脆弱性に対し、セキュリティアップデートを実施してバージョン1.24.10で修正を完了している。この脆弱性はCWE-125の境界外読み取りに分類され、CVSSスコアは5.1でミディアムレベルと評価されているため、影響を受けるバージョンを使用しているユーザーは速やかなアップデートが推奨される。

境界外読み取りの脆弱性は、プログラムが割り当てられたメモリ領域を超えてデータを読み取ることができる状態を指しており、情報漏洩やシステムの不安定化につながる可能性がある。今回の脆弱性はローカル環境での攻撃を前提としており、特権は不要だが攻撃による影響は限定的とされている。

GStreamer脆弱性の詳細

境界外読み取りについて

境界外読み取り（Out-of-bounds Read）とは、プログラムが割り当てられたメモリ領域の範囲を超えてデータを読み取ろうとする脆弱性のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• メモリ管理の不備により発生する脆弱性
• 情報漏洩やシステムクラッシュの原因となる可能性
• バッファオーバーフローの一種として分類される

境界外読み取りの深刻度は状況によって異なるが、今回のGStreamerの事例では、脆弱性が存在するqtdemux_merge_sample_table関数内でsttsバッファのサイズチェックが適切に行われていないことが原因とされている。CVSSスコアが5.1と評価されていることから、影響範囲は限定的であるものの、適切な対策が必要とされるセキュリティ上の問題である。

GStreamerの脆弱性に関する考察

GStreamerのセキュリティアップデートは、マルチメディア処理におけるメモリ管理の重要性を再認識させる機会となった。境界外読み取りの脆弱性は、一見すると影響が限定的に見えるが、攻撃者によって悪用された場合にはシステムの安定性や機密情報の保護に深刻な影響を及ぼす可能性がある。開発チームの迅速な対応によって修正版がリリースされたことは評価に値するだろう。

今後の課題として、開発段階でのセキュリティテストの強化が挙げられる。特にバッファ操作を含むコードに対しては、静的解析ツールの活用や定期的なセキュリティレビューの実施が不可欠だ。また、OSSコミュニティとの連携を強化し、脆弱性の早期発見と修正のプロセスをより効率化することも重要である。

将来的には、メモリ安全性を担保する言語機能やツールの活用、自動化されたセキュリティテストの導入など、より包括的なセキュリティ対策の実装が望まれる。GStreamerのような広く使用されているライブラリでは、セキュリティと機能性のバランスを取りながら、継続的な改善を進めていく必要があるだろう。

参考サイト

1. ^ CVE. 「CVE-2024-47598 | CVE」. https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2024-47598, (参照 24-12-22).

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