セキュリティ

SECURITY

公開：2024-12-22

【CVE-2024-47602】GStreamerのNULLポインタ参照の脆弱性、バージョン1.24.10で修正完了へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• GStreamerの1.24.10未満でNULLポインタ参照の脆弱性を確認
• Matroska/WebMデマルチプレクサに関連する重大な脆弱性
• CVSSスコア6.8のMEDIUMレベルの深刻度を評価

GStreamer 1.24.10未満のバージョンにおけるNULLポインタ参照の脆弱性

GitHubは2024年12月11日、メディア処理コンポーネントを構築するためのライブラリGStreamerにおいて、NULLポインタ参照の脆弱性【CVE-2024-47602】を公開した。matroska-demux.cファイル内のgst_matroska_demux_add_wvpk_header関数において、stream->codec_privポインタの有効性を適切に確認していない問題が存在している。^[1]

この脆弱性は、stream->codec_privがNULLの場合にGST_READ_UINT16_LE関数呼び出しにおいてNULLポインタを参照してしまい、アプリケーションのクラッシュを引き起こす可能性がある。また、範囲外読み取りの脆弱性も同時に報告されており、CWE-476およびCWE-125として分類されている。

GitLabのフリーデスクトップ上で公開されたマージリクエスト8057のパッチにより、この脆弱性は修正された。CVSSスコアは6.8でMEDIUMレベルの深刻度と評価されており、攻撃者は特権なしで攻撃を実行可能だが、ユーザーの関与が必要とされている。

GStreamer 1.24.10における脆弱性の詳細

NULLポインタ参照について

NULLポインタ参照とは、プログラムが無効なメモリアドレスを指すNULLポインタにアクセスしようとする際に発生する脆弱性のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• プログラムのクラッシュやメモリ破壊を引き起こす可能性
• サービス拒否攻撃に悪用される危険性
• 適切なポインタ検証による予防が可能

GStreamerの事例では、matroska-demux.cファイル内のgst_matroska_demux_add_wvpk_header関数においてstream->codec_privポインタの有効性確認が不十分であることが問題となった。この種の脆弱性は、適切なNULLチェックを実装することで防止できるため、開発者はポインタ操作時の検証を徹底する必要がある。

GStreamer 1.24.10の脆弱性対応に関する考察

GStreamerの脆弱性対応は、コードの品質向上という観点で重要な意味を持っている。NULLポインタ参照の問題は基本的なセキュリティチェックの不備から発生しており、今後は開発段階での静的解析ツールの活用やコードレビューの強化が求められるだろう。特にメディア処理ライブラリは多くのアプリケーションで使用されるため、影響範囲の特定と迅速な対応が不可欠である。

今後はセキュリティ面での課題として、ポインタ操作の安全性確保が重要になってくる。開発者向けのセキュリティガイドラインの整備や、自動化されたテストケースの追加により、同様の脆弱性の発生を未然に防ぐ必要があるだろう。特にMatroska/WebMデマルチプレクサのような複雑な処理を行うコンポーネントでは、入力データの検証を徹底することが求められる。

また、オープンソースプロジェクトとしてのGStreamerの透明性の高い脆弱性対応は評価に値する。コミュニティとの連携を強化し、脆弱性の報告から修正までのプロセスをより効率化することで、セキュリティ品質の継続的な向上が期待される。GitHubやGitLabを通じた情報共有の促進も、今後の改善点として挙げられるだろう。

参考サイト

1. ^ CVE. 「CVE-2024-47602 | CVE」. https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2024-47602, (参照 24-12-22).

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