経済

ECONOMY

公開：2024-12-13

シンガポール政府がディープテック支援で4億4,000万SGDを追加拠出、スタートアップの成長促進とグローバル展開を加速

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• シンガポール政府が4億4,000万シンガポールドルのディープテック支援を発表
• スタートアップSGエクイティの共同投資上限を1,200万SGDに引き上げ
• スタートアップ支援拠点「ステージ・ワン」を2025年第1四半期に開設

シンガポール政府によるディープテック支援強化とスタートアップ育成施策の拡大

シンガポール企業庁とシンガポール経済開発庁は2024年10月28日、SWITCH 2024の開幕演説において、ディープテック系スタートアップの支援強化策を発表した。スタートアップSGエクイティには4億4,000万シンガポールドル（約510億円）が追加拠出され、世界的なベンチャーキャピタルとの連携を通じてグローバル展開の可能性が高いスタートアップを支援する体制が整えられている。^[1]

スタートアップSGエクイティの共同投資の上限は、各スタートアップにつき800万SGD（約9.3億円）から1,200万SGD（約14億円）に引き上げられることになった。ディープテック系スタートアップの技術検証や商業化などの初期段階における支援が強化され、これまでに330以上のスタートアップに30億SGD（約3,480億円）が投資されている。

また2025年第1四半期には、スタートアップの海外展開を支援するワンストップ・プラットフォーム「ステージ・ワン」が正式に発足する予定だ。国内外のテック系スタートアップを一元的につなぎ、企業やイノベーション・パートナーとの協業を促進するプログラムやサービスが提供されることになっている。

ディープテック支援施策まとめ

ディープテックについて

ディープテックとは、高度な科学技術や工学的知見に基づいた革新的な技術のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• 研究開発に多額の投資と長期的な取り組みが必要
• バイオテクノロジーや量子技術など最先端分野が対象
• 社会や産業に大きな変革をもたらす可能性を持つ

シンガポールのディープテック支援は、研究・イノベーション・企業（RIE）2025計画の一環として位置づけられており、政府系ファンドマネージャーのSEEDS Capital、EDBI、SGInnovateが運営を担っている。バイオテクノロジーや量子テクノロジー、宇宙テクノロジーなどの分野で新たな革新的ソリューションの創出を目指している。

シンガポールのディープテック支援策に関する考察

シンガポール政府による大規模な追加支援は、ディープテック分野におけるスタートアップエコシステムの強化という点で極めて重要な意味を持っている。共同投資の上限額引き上げにより、技術の検証や商業化に必要な資金調達が容易になり、より多くのスタートアップが事業化に向けた取り組みを加速できるようになるだろう。

ただし、ディープテック分野は研究開発から実用化までに長期間を要することから、継続的な支援体制の維持が課題となる可能性がある。世界的なベンチャーキャピタルとの連携によって専門的な知見やグローバルネットワークを活用できる点は強みだが、各スタートアップの技術的優位性を見極めた上での投資判断が求められるだろう。

2025年第1四半期に開設予定のステージ・ワンは、スタートアップの国際展開を支援する重要な拠点となり得る。グローバルな競争が激化するディープテック分野において、シンガポールが東南アジアのイノベーションハブとしての地位を確立できるかどうかが注目される。今後は人材育成や知的財産保護など、エコシステムの基盤強化にも一層の注力が必要になるだろう。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「シンガポール経済開発庁、企業庁と4億4,000万シンガポールドル（約510億円）の追加拠出により、世界的なベンチャーキャピタルとの提携を通じてディープテックの成長を促進 | シンガポール経済開発庁のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000096113.html, (参照 24-12-13).

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