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鹿島が無響室の高性能化技術を開発、天井吊り下げ方式で理想的な無響状態を実現する新システムを構築

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


記事の要約

  • 鹿島が無響室の高性能化技術を開発し実装
  • 天井吊り下げ方式で理想的な無響状態を実現
  • 音響測定の精度向上とOPSODIS性能向上に貢献

鹿島による高性能無響室技術の実用化

鹿島は音響実験施設の性能向上を目指し、技術研究所西調布実験場内の無響室に革新的な高性能化技術を2025年1月16日に実装した。無響室の天井裏に十分な荷重に耐えうるキャットウォークを設置し、音をほとんど反射しない細いワイヤーやシャフトで測定対象を吊り下げる方式を採用することで、従来の床置き式では避けられなかった反射の影響を大幅に低減することに成功している。[1]

測定系の位置関係調整においても、四方の壁の奥に仕込まれた細いワイヤーワークによってミリ単位での位置調整が可能となり、キャットウォークに設置された回転装置により0.1度ステップでの回転調整も実現している。これらの技術革新により、測定対象物だけが無響室内に浮かぶ理想的な無響状態での音響測定が可能となったのだ。

鹿島はこの高性能無響室を活用し、様々な形状や材質の壁、床、天井面の音響特性を詳細に把握する研究を進めていく方針を示している。また英国サウサンプトン大学と共同開発した立体音響技術OPSODISの性能向上にも活用し、オーディオ分野など建設業の枠を超えた技術展開を目指している。

無響室高性能化技術の特徴まとめ

項目 詳細
設置場所 技術研究所西調布実験場(東京都調布市)
主要技術 天井裏キャットウォークと吊り下げ式測定システム
位置調整精度 ミリ単位での位置調整、0.1度ステップでの回転調整
活用目的 音響特性測定、OPSODIS性能向上

吸音楔について

吸音楔とは、無響室の壁面、床面、天井面に設置される音響吸収材のことで、室内で発生する音の反射を最小限に抑えるための重要な構成要素である。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • くさび状の形状により音波を効率的に吸収
  • 高周波から低周波まで幅広い音域に対応
  • 反射音を可能な限り減衰させる特殊な材質を使用

鹿島が開発した新しい無響室では、従来の床置き式測定装置による音の反射を避けるため、吸音楔で覆われた空間内に測定対象のみを配置する構造を採用している。天井裏のキャットウォークから細いワイヤーやシャフトで測定対象を吊り下げることで、吸音楔の性能を最大限に引き出すことに成功したのである。

参考サイト

  1. ^ . 「極限まで無響性能を高めた無響室の構築 | プレスリリース | 鹿島建設株式会社」. https://www.kajima.co.jp/news/press/202501/16a1-j.htm, (参照 25-01-17).

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