セキュリティ

SECURITY

公開：2025-02-20

日立が量子コンピュータ時代に対応する新暗号技術を開発、従来比10倍の高速検索とデータ活用を実現

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• 日立が量子コンピュータ時代に対応する暗号技術を開発
• 従来比10倍の高速な検索が可能な検索可能暗号技術
• 暗号化したままデータの統計処理が実現可能に

日立の耐量子暗号技術による高速データ検索の実現

日立製作所は量子コンピュータによる解読リスクに対応するため、格子暗号をベースとした高速な検索可能暗号技術を2025年2月18日に開発した。従来の耐量子性を持つ公開鍵検索可能暗号技術と比較して10倍の高速検索を実現し、クラウドサーバ上の暗号化データを安全に検索できる技術となっている。^[1]

格子暗号技術による詳細な安全性解析を実施することで、検索処理に用いるベクトルの次元数を削減することに成功した。暗号化されたままの状態でデータの検索が可能になり、大規模データの効率的な検索処理と活用が実現できるようになったのだ。

秘密分散技術と準同型暗号技術を組み合わせることで、一定数以上のデータが集まった場合のみ統計処理が可能になる仕組みを構築した。医療データの分析など、プライバシーを保護しながらデータを活用できる範囲が広がり、ヘルスケア、公共、金融分野での実用化を目指している。

新暗号技術の特徴まとめ

格子暗号について

格子暗号とは、基本図形が規則的に並ぶパターンを数学的に表現し暗号に利用する方式のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• 米国立標準技術研究所で標準化された公開鍵暗号方式
• 高次元パターンにより量子コンピュータでも解読が困難
• 生成ベクトルの整数係数一次結合で格子点を表現可能

格子暗号ではランダムな生成ベクトルから格子内の短いベクトルを求めることが困難であるという性質を利用している。量子コンピュータによる攻撃にも耐えられる設計となっており、従来の暗号技術が持つ解読リスクへの対策として注目を集めているのだ。

日立の新暗号技術に関する考察

量子コンピュータの実用化が進む中で、従来の暗号技術に代わる新たなセキュリティ対策の開発は極めて重要な取り組みとなっている。日立が開発した高速検索可能暗号技術は、データの安全性を確保しながら利活用を促進できる点で、デジタル社会における重要な技術的基盤となるだろう。

今後の課題として、暗号化されたデータの検索や統計処理に関する標準的なプロトコルの確立が必要になってくると考えられる。異なるシステム間でのデータ連携や相互運用性の確保など、技術の普及に向けた取り組みが求められるのだ。

医療分野におけるプライバシー保護と研究開発の両立、金融分野での機密情報の安全な分析など、具体的なユースケースの開発も重要な課題となっている。産業界全体での活用事例の蓄積と、それに基づく技術の改良が期待されるところだ。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「量子コンピュータ時代に対応する安全・高速でデータ検索が可能な暗号技術を開発 | 株式会社 日立製作所のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000152541.html, (参照 25-02-20).

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