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公開：2025-02-21

日本触媒とNTT ComがAI Autopilot Systemで化学プラントの自動運転に成功、運転品質が13.5%向上

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• 日本触媒とNTT Comが化学品製造工程の自動運転に成功
• AI Autopilot Systemによる複雑な連続蒸留工程の自動化を実現
• 運転員の負荷軽減と技能継承の効率化に貢献

熟練運転員の技能を取り入れたAIによる化学プラントの自動運転に成功

株式会社日本触媒とNTTコミュニケーションズは2025年2月18日、プラントの自動運転を実現するNTT Comのソリューション「AI Autopilot System」を活用し、状態が複雑に変化する化学品製造工程の自動運転に成功したことを発表した。連続蒸留工程において、熟練運転員の操作履歴と運転ノウハウを学習させたAIモデルを構築することで、従来は困難とされていた自動運転を可能にしたのだ。^[1]

AI Autopilot Systemによる運転では、液面計の実測値と理想液面の誤差が手動操作時の平均2.38%から平均2.06%へと改善され、熟練運転員による手動操作と比較して13.5%の精度向上を達成している。この結果により、運転員が常時手動で操作する必要がある従来の課題を解決し、運転品質の向上と作業効率化を両立することが可能になった。

日本触媒は今回の成果を他のプラントへも展開し、DXによる変革を推進する方針を示している。一方NTT Comは、バッチプラントや少量多品種生産を行うプラントなど、手動操作が残る工程への機能拡張を進め、化学工場以外の産業分野への展開も視野に入れている。

AI Autopilot Systemによる自動運転の詳細

連続蒸留工程について

連続蒸留工程とは、化学品の純度を高めるための製造工程で、反応液を連続的に供給し、留出液とそれ以外を分離する重要な工程のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• 流入する反応液の組成が常時変化
• 留出液の再利用量や組成による影響を受ける
• 天候などの外部要因の影響を考慮が必要

連続蒸留工程では温度制御が特に重要な要素となっており、留出液面の高さを理想値に保つための高度な操作技術が必要となる。従来は熟練運転員の経験と技能に依存していた工程だが、AIによる自動化によって安定した運転品質の実現と技能継承の効率化が可能になった。

AI Autopilot Systemによる自動運転に関する考察

AI Autopilot Systemによる化学プラントの自動運転は、熟練運転員の技能をAIに継承することで、人材育成にかかる時間とコストを大幅に削減する可能性を秘めている。特に運転員の高齢化が進む化学産業において、技能継承の効率化は持続可能な生産体制を構築する上で重要な意味を持つだろう。

今後の課題として、AIモデルの精度向上や異常時の対応能力の向上が挙げられる。特に予期せぬトラブルや新規製品の製造時における柔軟な対応力の向上が求められており、運転データの蓄積と解析による継続的な改善が必要になるだろう。

将来的には、化学プラントに限らず、製造業全般での活用が期待される。AIによる自動運転技術の発展により、人手不足の解消や生産性向上、さらには新たな価値創造につながる可能性を秘めているのだ。

参考サイト

1. ^ NTT. 「熟練運転員の操作を学習したAIにより状態が複雑に変化する化学品製造工程の自動運転に成功」. https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2025/0218.html, (参照 25-02-21).

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