富士通が世界最高効率85.2%のGaN-HEMTパワーアンプを開発、無線通信やレーダーの省電力化を実現

PR TIMES より
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記事の要約
- 富士通が世界最高効率85.2%のGaN-HEMTパワーアンプを開発
- 周波数2.45GHzで省電力化を実現し無線通信やレーダーに活用可能
- 高品質GaN結晶とバッファ層の高抵抗化により性能向上を達成
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GaN-HEMTパワーアンプの新技術が無線通信の省電力化を加速
富士通株式会社は2025年3月21日、窒化ガリウム高電子移動度トランジスタを用いたパワーアンプにおいて、周波数2.45ギガヘルツで世界最高となる電力変換効率85.2%を達成する技術を開発した。この技術により無線通信やレーダー、無線電力伝送などの機器において、電波を遠くへ飛ばすために必要な電力損失を大幅に低減することが可能になっている。[1]
GaN-HEMTによるパワーアンプの高効率化を実現するため、チャネル層の高品質化と、バッファ層の高抵抗化という2つの重要な技術革新が行われた。チャネル層では結晶成長条件を最適化して残留炭素原子を低減し、バッファ層では鉄原子を添加することで高電圧条件下でも漏れ電流を抑制する高い抵抗値を維持することに成功している。
本技術の開発成果は2025年3月19日に学術論文誌「Applied Physics Express」に掲載され、電力付加効率85.2%およびドレイン効率89.0%という世界最高水準の性能を達成したことが報告されている。富士通は今後、本技術の実用化に向けて実装技術の開発と信頼性評価を進めていく方針だ。
GaN-HEMTパワーアンプの性能まとめ
項目 | 詳細 |
---|---|
動作周波数 | 2.45GHz (ISMバンド) |
電力付加効率 | 85.2% (世界最高) |
ドレイン効率 | 89.0% (世界最高) |
主な改良点 | チャネルの高品質化、バッファの高抵抗化 |
応用分野 | 無線通信、レーダー、無線電力伝送 |
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窒化ガリウム高電子移動度トランジスタについて
窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ(GaN-HEMT)とは、バンドギャップの異なる半導体の接合部で電子が高速で移動する特性を利用した電界効果型トランジスタのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- シリコンなど従来の半導体材料と比べて電圧による破壊に強い特性を持つ
- 高速な電子移動により優れた出力性能と効率を実現
- 衛星放送受信機や携帯電話基地局などで広く使用されているICT基盤技術
富士通は1980年に世界に先駆けてGaN-HEMTを開発し、2021年にはGaN基板上に成長させたGaN結晶を用いて当時世界最高となる82.8%の電力変換効率を達成している。GaN-HEMTは移動通信の基地局向けパワーアンプとして2000年代半ばに初めて実用化されて以降、幅広い分野で活用が進んでいる。
GaN-HEMTパワーアンプの新技術に関する考察
GaN-HEMTパワーアンプの電力変換効率85.2%という世界最高性能の達成は、無線通信機器の省電力化に向けた重要な一歩となる。特にチャネル層の高品質化とバッファ層の高抵抗化という2つの技術革新により、従来のSiC基板を用いた場合と比べて大幅な性能向上を実現することが可能になった。
本技術の実用化に向けては、長期信頼性の確保と量産技術の確立が重要な課題となるだろう。特に高温環境下での動作安定性や、製造プロセスの歩留まり向上などについて、詳細な評価と改善が必要になると考えられる。実装技術の開発と並行して、これらの課題に対する解決策を見出していく必要がある。
将来的には、本技術のミリ波やサブテラヘルツ波への応用展開も期待される。より高周波数帯での高効率動作を実現することで、次世代通信システムや高性能レーダーなど、さらに広い応用分野での活用が可能になるだろう。CO2排出量削減に向けた取り組みとしても、本技術の発展と普及が果たす役割は大きい。
参考サイト
- ^ PR TIMES. 「ワイヤレス通信やレーダーの省電力化を実現する世界最高効率のマイクロ波パワーアンプ技術を開発 | 富士通株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000393.000093942.html, (参照 25-03-25). 3262
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