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出光興産がVecco社への過半出資を決定、豪州バナジウム事業の展開が本格化へ

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

出光興産がVecco社への過半出資を決定、豪州バナジウム事業の展開が本格化へ

PR TIMES より


記事の要約

  • 出光興産がVecco社への過半出資を決定
  • 豪州初のバナジウム電解液製造施設が稼働開始
  • 2027年からの採掘施設の操業開始を目指す

出光興産のVecco社への過半出資によるバナジウム事業展開

出光興産は再生可能エネルギー導入拡大に必要な鉱物を含むクリティカルミネラル事業への参入を目指し、Vecco社への過半出資を2024年12月18日に決定した。同社への出資総額は7,500万豪ドルとなり、豪州クイーンズランド州でバナジウム鉱山とVFB用電解液プラントに関するプロジェクトの推進を強化していく方針だ。[1]

最新のIEA世界エネルギー見通しでは、世界の電力需要が2035年までに過去10年の成長率と比べ6倍の速さで増加すると報告されており、再生可能エネルギーによる発電が約半分を担うと予測されている。COP28で掲げられた1.5℃目標実現のためには、2030年までに再生可能エネルギーによる発電容量を3倍にし、1500GWの電力貯蔵容量の確保が必要とされるだろう。

Vecco社は2023年6月に豪州初となる商業規模のバナジウム電解液製造施設の稼働を開始し、生産能力は約35MWh/年に達している。2025年前半からは豪州内バナジウム鉱山開発に対する詳細FSを開始し、2026年からの採掘施設の建設および2027年からの操業開始を目指すことが決定した。

Vecco社のバナジウム事業プロジェクトまとめ

項目 詳細
プロジェクト名 Debella Project
製造施設生産能力 約35MWh/年
施設稼働開始 2023年6月
詳細FS開始予定 2025年前半
採掘施設建設予定 2026年
操業開始予定 2027年

バナジウムフロー電池について

バナジウムフロー電池(VFB)とは、バナジウムを原料とし、エネルギーをバナジウム電解液に蓄える仕組みの蓄電池のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

  • 電池容量の大型化が容易に実現可能
  • 劣化が少なく長寿命な特性を保持
  • 発火リスクがなく安全性が高い

バナジウムフロー電池は電力系統用の蓄電池に適した特性を有しており、太陽光をはじめとした再生可能エネルギー電源との組み合わせが期待されている。出力を天候に左右されやすい再生可能エネルギーの安定供給に貢献し、電力系統の安定性向上に寄与する可能性が高いだろう。

出光興産のクリティカルミネラル事業に関する考察

出光興産がVecco社への出資を通じてクリティカルミネラル事業に本格参入することは、再生可能エネルギーの普及に向けた重要な一歩となっている。特に豪州でのバナジウム事業は、同社が約45年にわたり培ってきた石炭鉱山での経験や知見を活かせる分野であり、既存の事業基盤を効果的に活用できる可能性が高いだろう。

一方で、バナジウムフロー電池の普及には製造コストの低減や性能向上といった技術的な課題が存在している。今後は豪州での採掘から電解液製造までの一貫した生産体制の確立により、コスト競争力の強化とサプライチェーンの最適化が重要な課題となるだろう。

将来的には豪州で精製した五酸化バナジウムを米国などへも展開することで、グローバルな事業展開が期待される。クリティカルミネラルの安定供給は世界的な課題となっており、出光興産の取り組みは再生可能エネルギーの普及促進に大きく貢献する可能性が高いだろう。

参考サイト

  1. ^ PR TIMES. 「豪州でバナジウム事業を推進するVecco社へ過半出資、クリティカルミネラル事業へ本格進出 | 出光興産株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000534.000023740.html, (参照 24-12-20).

※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。

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