千葉大学発スタートアップがAI模擬患者システムを開発、医学教育のDX化と問診力向上に貢献

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

千葉大学発のスタートアップ企業である株式会社OPQRSTは、医療者の問診力向上と患者への安心な医療提供を目指し、AI模擬患者問診シミュレーション「OPQRST」を開発した。現役の総合診療医が経営陣を務める同社は、医学教育におけるDX化の推進と問診技術の向上に向けた取り組みを展開している。^[1]

医学教育において重要な問診・医療面接の実践機会が限られている中、2023年から全国の大学で実施されているOSCE試験における模擬患者の確保が課題となっていた。全国75大学の医学部のうち98.6%が負担を感じており、特に模擬患者の確保については85.3%の大学が課題として挙げている状況であった。

AI模擬患者システム「OPQRST」は、口数の多さや協力度などのパラメータを調整可能で、47種類の症例に対応している。2025年4月上旬のリリースを予定しており、今後は音声入出力機能や3D、VR対応など機能の拡充を段階的に進めていく方針だ。

項目	詳細
開発企業	株式会社OPQRST（千葉大学発スタートアップ）
主要機能	AIを活用した問診シミュレーション、フィードバック機能
対応症例数	47種類
特徴	患者の性格設定が可能、多様な診断名に対応
リリース予定	2025年4月上旬

OSCEとは「Objective Structured Clinical Examination（客観的臨床能力試験）」の略称で、医学生の臨床能力を評価するための標準化された試験システムのことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

2023年から全国の医学部で実施が開始されたOSCEは、医学教育の質を保証する重要な試験として位置づけられている。模擬患者の確保や教育が課題となっており、全国75大学の医学部のうち98.6%が試験実施に関する負担を感じている状況だ。

AI模擬患者システム「OPQRST」の開発は、医学教育における深刻な人材不足の課題解決に向けた革新的なアプローチとなっている。特に全国の医学部で実施されているOSCE試験において、模擬患者の確保が大きな負担となっている現状を考えると、AIによる代替は効率的な解決策となる可能性が高いだろう。

一方で、AIシステムによる問診トレーニングでは、実際の患者との微妙なコミュニケーションやノンバーバルな要素を完全に再現することは難しい可能性がある。システムの精度向上や現場のニーズに合わせた継続的な改善が、今後の普及における重要な課題となるだろう。

医療のデジタル化が進む中、オンライン診療や遠隔医療の需要も高まっており、医療者のコミュニケーション能力の重要性はさらに増している。AI模擬患者システムの活用により、医学生が十分な実践経験を積むことができれば、将来的な医療サービスの質的向上にも貢献することが期待される。

^ PR TIMES. 「生成AI技術を活用した“AI模擬患者”問診シミュレーション「OPQRST」を開発　〜医学教育にイノベーションを。AI技術を活用しDX化へ〜 | 株式会社OPQRSTのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000157447.html, (参照 25-02-22).

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